yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

がんばる農家の勝算と食糧安保

yakinikunanzan2007-10-20



一昨日、岡喜さんに連れられ、近江八幡市の新屠場で行なわれた近江牛の販売会を見学させてもらいました。


33頭が出品された販売会だったのですが、セリが始まる前に枝肉を見て回るのが一番面白い時間です。


それぞれの生産者名と雌雄(といってもヌキかメスかと表示されています)、重量、月齢、瑕疵、格付け等級の記された一覧を見ながら該当の牛のロースの断面や枝の形、モモを見て回るのです。


「これは、モモはええけど、ロースがあかん」とか、購買者のちょっとした会話に耳がダンボになりますが、どうしても味見ができないもどかしさが付いて回ります。


南山の調理長も新人スタッフも、白衣を借りて真剣に枝肉を見学。




セリが始まると、ダレがどんな牛をいくらで競り落とすか、興味しんしんです。
この日は購買者も少なく、あまり高値になりませんでしたが、「これやったら南港並みやなぁ・・・」と出品者はため息交じりで、出品者が落札して帰るケースも結構ありました。


市場に出して原価割れするより、自分で買って帰って売り先をほかに求めるということなのですから、市場に頼らない販売ルートを持っている生産者さんは強い!


岡喜さんも、その口でした。


あまりにもきれいな新屠場では、おっちゃんたちとわいわい話せた旧屠場のような気さくな雰囲気がなく、なんとも寂しい感じでしたが、嬉しい人に出会いました。


セリに参加しておられたサカエヤの新保社長木下牧場のおかみさんを紹介してくださったのです。


南山の産直米、近江悠紀会さんのお米の稲わらをどうやったら近江牛に食べさせられるか、いろんなところにその方法を問い合わせていたのですが、サカエヤの新保社長がメールを下さり、近江米の稲わらを集めて近江牛を繁殖から肥育なさっている農家さんの情報を教えてくださったのです。


新保社長に教えていただいた木下その美さんのブログは、本当に面白く、そのご本人が、これまた素敵な方だったので、本当に嬉しくなりました。
「私は主婦ですから」のひとことで、「安全安心な自家産の餌にこだわり、子牛が生まれるところから関わって育て、堆肥もすべてきちんと循環させられる肉牛肥育をする」それがあたりまえということになるのです。


しかも、黒毛和牛は子育てがへたくそだと聞いていたのに、木下さんのところでは、子牛は母牛が母乳で育てているということなのです。


近江悠紀会さんの田んぼで稲刈りさせていただいた折にも自信に満ちた農家さんの迫力を感じたのですが、木下さんからも、ものすごく元気な明るい未来を感じることができました。


すごい農家さんたちの自信には、「これから大変な時代になるが、自分は大丈夫」という「食べ物を握っている」ゆえの勝算があります。


非農家の私たちは、農家から食料を分けてもらえるに足る信頼関係を築くのが最大の食糧安保というところでしょう。


さぁ、今日はこれから土曜朝市。
いろんな生産者さんたちとのつながりを増やし、よい食財をお客様に届ける仕事に励みます。


今日の朝市では、たぶん今年最後になるマツタケも並びます。
予約が入ったため、岩手の農家さんがわざわざ土曜朝市のために山に入って採ってきてくださった貴重なマツタケです。


めずらしい京野菜・青味大根もゲストに登場です。実り豊かな大地を枯らさぬよう、貴重な種を絶やさぬよう、ささやかな朝市が少しずつ育っています。