yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

稲刈りに思う

yakinikunanzan2007-10-07



5月に植えたかぐや姫がようやく実り、10月7日(日)、稲刈りに行ってきました。


農家さんにとっては、今が一番忙しい時期。
都会人のお遊びに付きあって頂く暇などないはずなので、とにかくできるだけお手間取らせないような企画を…と準備をしていたのですが・・・。


やっぱり、働いたあとは、新米のおにぎりとバーべキューで交流を!!と、近江悠紀会の岡本甚太郎会長が一席ご用意くださり、大いに盛り上がって楽しませていただきました。


今年の5月に、岡本甚太郎会長の田んぼを1枚お借りして、手植えさせてただいたときには、四分の三はすでに機械植えしてあったので、きっと今回も・・・と、実は気楽に構えていたのですが・・・!!


たわわに実ったかぐや姫たちは田んぼの端から端までどーんと待っていました。

これを全部刈るには日が暮れる・・・。昼食のバーベキューなんか、食べる時間なさそう・・・と内心真っ青になりましたが、でも、やるっきゃありません。




私たちが刈り取った稲の束がそこそこの量になった頃、指導に来てくださった近江悠紀会のメンバーの方々が脱穀機を田に乗り入れて刈った稲を脱穀していってくださいました。


脱穀機など見たことなかった私たちは、その便利さに圧倒されましたが、脱穀機に稲をどんどん入れていくのも大変な仕事です。




普通に機械でやれば簡単なことを、わざわざこうして稲刈り体験に付き合っていただくのですから本当に申し訳ないことで、みなさんに平身低頭お詫びを申し上げると、「年に一度のイベントですから、まぁ、楽しんでください」と、苦笑をかくして私たちに田んぼを任せ(?)、汗だくで脱穀機を動かしてくださいました。


実は、どうやら、私たちがすぐに音を上げる・・・と見越して段取りがされていたらしいのですが、実際に先に音を上げたのは、岡本甚太郎会長でした。


「もう、刈らんといて!! よけい仕事が増える!!」と、思わず本音炸裂で、作業ストップ!!
脱穀機だと思っていた機械に乗り込まれるや、それは「稲刈り&脱穀機」に変身!!
弱り果てた人間を助けに来たヒーローのように、機械が活躍し始めました。





20人がかりで1時間かけてやる仕事を、ものの10分ほどでやってしまうのですから、機械はすごい!!
機動戦士ガンダムにでもなったようなヒーロー気分で、稲刈りマシーンを操縦する体験までさせていただくことができました。


とにもかくにも、ど素人相手に我慢強くお付き合いくださった近江悠紀会さんたちのおかげで南山がお借りした田んぼは無事稲刈りを終えることができました。


そして今週末には、「かぐや姫」の新米をお客様にお召し上がりいただけます。


さて、稲刈りのあとは、楽しみな昼食。
岡本甚太郎会長の奥様手づくりの山菜おこわおにぎり、黒米のおにぎり、白米のおにぎりと、“固いけれども味のある”親鳥(ひねどり)のお肉やお漬物・野菜を、岡本会長がご用意くださいり、南山から持参した産直牛の赤身肉と短角牛のホルモンも焼きました。
(大人には、ホルモンがやはり一番人気!!)




この日は、岡本さんたちの仲間「時流研究会」の方々も何人かが参加され、稲刈り体験と煙まみれのバーベキュー体験でご一緒くださいました。
「時流研究会」というのは、脱ディスカウント(価格競争)で、「いい物を売る」ための研究をしておられる小売店の全国ネットワークで、9月に南山で勉強会をされたばかり。この勉強会では、南山が、産直仕入にこだわり、「焼肉屋」から「焼肉料理屋」へと脱皮した事例を話してほしいと依頼され、皆さんとはすっかり懇意になっていました。


このグループは、インターネット販売の研究から、かつては家庭の台所に一番近い存在だった酒販店・米穀店や牛乳配達の販売網・配送機能などまでを見据えて「いいもの」を売る研究をなさっています。
岡本さんのすごさは、まずは農家の方ご自身の健康を守るため、安全・安心な「米ぬか農法」を広め、それだけでなく、その「いいもの」を「売ること」にもとことん熱心な研究をなさっているところです。


「本物とは、作り手の苦労がわかるもの」と、モクモクの吉田専務は定義されましたが、「作り手の苦労を知る」ところからしか、本物(本当に値打ちのある物)を売るための説得力は生まれないでしょう。


稲刈りをすればわかる、生き物がいっぱいの土、酒かすの撒かれた土の様子・・・。こんなところまで見せていただけたのですから、このお米は、本当に値打ちのあるお米だと、改めてよくわかりました。


稲刈り体験に参加した小学生たちは、おなかが膨れたあとは、田んぼで走り回り、「お母さんのお土産に!」と、落穂拾いにも夢中になっていました。


恐縮にも、先に刈り入れの済んでいた「かぐや姫」のお米を参加者全員が一袋ずつお土産にいただき、次週刈り取る予定の古代米(黒米)の稲穂も4束ほど刈り取っていただいて帰りました。


この黒米の稲は、南山の店頭ではさがけにしました。ここでしっかり乾燥したら・・・お楽しみメニューに登場予定です。
黒米はもち米なので、乾燥した稲穂を焼き網にのせて焼くと、ポン菓子やポップコーンのようにはじけてお米の花が咲くのだそうです。



8月に刈り取られた新米中の新米をまだそのままはさがけにしてますが、これは、京都の小学校の文化祭に提供することになりました。
案山子もバケツ稲も、私たちが学んだお米の話もそのまますべてが、子どもたちの学習教材になってくれれば最高に嬉しいことです。


総勢30人が、からだの節々が痛む思いで体験させていただいた不効率極まりない稲刈り体験(いえ、稲刈りごっこ)・・・。
とにもかくにも、みなで汗をかいて、刈り入れの済んだ田んぼを見渡しながら田んぼのそばで乾杯して昼食を囲み・・・、本当に懐かしい風景を体験することができました。


子どもの頃、祖父母の田んぼにご近所の方々がみんな集まってきて稲刈りをし、畦に昼食を広げて飲んで食べた平和な風景を思い出すことができました。


町に住む息子(私の父)も、そのときばかりは孫をつれて手伝いに帰ったのでしょう・・・。
ただ一度きりの思い出ですが、村中が順番に手伝いあって、お礼に美味しい昼食を分け合う収穫の行事を、私は幸いなことに体験しています。子供心にまぶしいほどの、とても不思議な美しい光景でした。


こんな特別な日を、追体験させていただけた、貴重な稲刈りでした。


きっと、岡本会長ご自身も、「あの楽しさ・豊かさ」を、私たちに体験させたかったのだろうと思います。
仕事の邪魔をしに行ったとは言え、年に一度は、あえてこんな時間を持つことも大事にしていいのかなと、思いました。


近江悠紀会の皆さんも、性懲りもなく、「又来年もどうぞ!」と言ってくださったのでした。
本当にありがとうございました。