yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

人も牛も幸せになる食と農をめざして

7月のビッグイベントの中身が少しずつまとまってきました。


7月19日(木)午後7時から南山で、昔ながらの近江牛を今に甦らせたフードアクションニッポン2010優秀賞受賞の近江牛をお披露目します。
http://blog.omi-gyu.com/article/56368795.html


近江牛専門店「サカエヤ」の新保社長が木下牧場さんに依頼して2年がかりで完成させた、究極の地産地消のえさで育った近江牛です。自家産のコーリャンのサイレージを中心に、ご近所から入手できる米ぬか、乾燥おから、豆乳粕、お酢の粕などを利用して育ててくださったので、輸入に頼らない自給率100%の昔ながらの「ほんまもん」の近江牛ができたのです。



昨日は、近江八幡市大中町の木下牧場へ、その特別肥育された牛さんにご挨拶に行ってきました。
毛づやのよい、本当に美しいお嬢さん牛に育っていました。



木下牧場は、広大な大中の湖干拓地のど真ん中にあります。


琵琶湖に浮かぶ沖島から、この干拓地に入植された元石材職人の後藤喜代一さんの長女である「その美」さんの嫁ぎ先が木下牧場だったのですが、その美さんは、ご主人の闘病生活を機に幼い子ども二人を抱えて、木下牧場の大転換をなさいました。
ご実家のお父様、後藤喜代一さんの手ほどきで、近江牛の繁殖一貫に挑まれたのです。
以来20年・・・。



木下その美さんがだっこしている赤ちゃんは、この牧場の後継者である、その美さんの長女の美奈ちゃんのお子さんです。


親、子、孫、ひ孫へと受け継がれた牛飼い魂が、自家産のサイレージと地元産のエコフィードでストレスフリーに育てたプレミア近江牛です。
牛本来の食べ物、草をいっぱい食べて、病気ひとつせず、おだやかな小ぶりの近江牛に育ちました。



この牛さんに、心からの敬意を表し、一流のシェフを招いて最高のお料理にさせていただきます。
志を同じくする素晴らしい仲間たちに恵まれ、こんな日を迎えることができるなんて、本当にどうしてよいかわからぬほどうれしい気持ちです。


牛本来の食べ物ではない穀物霜降りにするのではなく、牛本来のえさを中心に健康に育った牛の価値をどう表現するか、サカエヤの新保社長のアレンジがまた素晴らしく、南草津のイタリアンの名店サルティンボッカのオーナーシェフが腕を振るってくださるのですから、最高です。


この牛さんと関わった多くの隣人がひとりでも多くうれしい気持ちでしあわせになること。これが命を差し出してくれるものへの最大限の作法だと思います。
この牛さんのまなざしに、耐えうる食の提供者となれるよう、7月19日に向けてがんばっています。


幾多の苦難を乗り越えた開拓者のご両親を持つその美さんは、親の留守を沖島で待ちきれず、沖島から大中まで泳いで渡るほどのたくましい娘さんでした。


その開拓者魂は、子から孫へと受け継がれ、霜降りも増体も無視し、牛本来の価値を追求する「ほんまもんの近江牛」づくりへと挑戦されるまでになったのです。


7月19日(木)午後7時からの幸せな食事会で、木下牧場さんの開拓者魂も一緒に味わっていただければ幸いです。