yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

月刊「飲食店経営」千葉哲幸編集長

yakinikunanzan2006-01-09

http://shogyokai.yume-net.ne.jp/hanbai/common/zassitop.asp?m=04


「安全安心な食肉仕入れと牛肉料理提供方法の調査研究」という、長った
らしい名称の調査研究事業は、ここにご参加くださった専門家の先生方の
興味と関心によってそれぞれ事業の略称が違っています。


南山では、「牛肉の流通等調査研究」という風に言っていますが、青木委員長は、
「牛を丸ごと1頭食べるにはどうするかの勉強会」という風に表現されます。


その青木委員長が月刊飲食店経営の千葉編集長に、この事業への参加を
呼びかけてくださったのですが、ちょうど牛心(但馬屋)さんを取材され
「和牛1頭買いの焼肉店」に関心を持たれていた千葉さんは、
二つ返事でこの事業への専門家委員に就任してくださいました。


また、㈱牛心の伊藤社長に、この事業へご参加くださるよう口説く際にも
一役かってくださり、この事業の進捗状況を「和牛1頭買いで焼肉店が変わる!」、
「和牛1頭買いへの挑戦」というタイトルで連載記事にしてくださっています。


千葉さんは、2001年9月の国内でのBSE発生を外食産業の転機と捉えておいでで、
付加価値の高い「質」を追求した飲食店の成功事例に、強い関心を示されます。


今にも潰れそうだった焼肉屋が、見よう見まねで和牛1頭買いに挑戦し、
調査研究事業にまで取り組んで、必死でもがいているのですから、南山のそのまんまが
千葉さんには、とてもおもしろかったようで、また他の専門家の先生方から
毎回本当に興味深い話がたくさん聞けるという楽しさも手伝って、
多忙な時間を無理やり裂いてこの事業にご参加くださっています。


ところが南山は、「和牛1頭買いへの挑戦」をしてみたものの、
「和牛」だけを売りにするのは本当に大変だという事も痛感しました。


それで、連載記事の校正ゲラが届いた時に千葉さんには率直に相談しました。


“この調査研究事業の落ちでは、「和牛にはこだわらない」という結論に
なると思いますが、「和牛1頭買い」というタイトルの連載で、大丈夫ですか?”


千葉さんの答えはすごく簡単であっけらかんとしたものでした。
「いいですよ。結論がどこに行くかは今後の成り行きで、要は、南山さんの
思いの強さと説得力がこれからの記事を書かせますから・・・。」


高価な和牛を枝肉で仕入れる(1頭つかいをする)というのは、お肉屋さんの
分野にまで踏み込んで仕事をするということでもあり、従来の比ではない
苦労をして技術を積み、複雑な商品づくりと原価のやりくりをせねばなりません。


それでも、仕入値や手間からすると、売値だって高くなってしまいますので、
輸入牛肉と比べてこんなに高くて、本当に大丈夫かなぁとの思いがつきまといます。


こうやって、お客様にも無理してもらい、こちらも無理してぎりぎり頑張って、
それで生産者の方はというと・・・、もっと大変な思いで、後継者もできないほどの
苦しいやりくりをしておられるというのです。


三方しんどいのが和牛の世界か・・・と、調査研究事業を通して愕然としました。


「黒毛和牛」で三方よい商売をするためには、牛心(但馬屋)さんのような付加価値の高い
圧倒的なレベルに達しないと無理なのではないかとすら思います。


お客さまや、南山を支えてくださる有縁者の皆様への感謝をこめて、まじめに
1歩1歩進んでいくしかありません。