yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

舞妓さんと京たんくろ和牛

yakinikunanzan2010-02-28



2月26日(金)、京たんくろ和牛ブランド化事業の専門家委員会が開催され、その後、事業報告と試食会も開催させていただきました。


専門家委員会では、この事業の方向性を真剣に討議。
京たんくろ和牛のブランド化の中身と方向性、そしてこの事業の意義は…と言う視点で、ほんとうに有意義な討議ができました。


今回の農商工連携事業が、南山と日本海牧場のためだけのものだとすれば、お忙しい先生方を煩わせるのは大変失礼なことになります。
私は、この事業にたくさんの方を巻き込んでしまったため、丸1年、責任とプレッシャーに押しつぶされかけていたのですが、専門家委員会で熊本大学文学部の徳野先生の天才的な分析と整理に導かれ、うれしい着地点を見出すことができました。



事業報告会で徳野先生をご紹介!

徳野先生がおっしゃるには、ブランド化には2種あり、産地や素材としてのブランドと、文化的・社会的な(?)ブランド、たとえば京都のにしんそば。
なるほど、京都でニシンなど獲れないのに、「にしんそば」は京都発祥の京都名物として親しまれ定着しています。


京たんくろ和牛が目指すべきは後者で、京都で愛されるブランドとなるには、たくさんの人がそこに関わることが必要。
「舞妓さんが育てた京たんくろ和牛」だとか、「大自然が手間隙かけて育てた京たんくろ和牛」といったブランドイメージづくりを工夫し、市民が参加して一緒に育てているというストーリーを作らないと・・・と、徳野先生からご助言を頂きました。



京たんくろ和牛のブランドイメージ戦略をご指導くださっているモクモクの木村社長。(今回の事業報告会&試食会のプロデュースもしてくださいました)


スローフードアワード賞受賞者の作ったスープが「お湯を注ぐだけで10秒でできる」という商品になっているおかしさも例に、「農商工連携」などというと、こういうものがたくさん出来てしまうだろうが、「家庭で食べる手づくりの味」をふるさとの味の最高のものとするなら、この対極にある「作り手から遠いところに大量に売れるものを送り込む」という商品化とは、京たんくろ和牛は方向を別にすべきだろうと、問題を整理して下さいました。


縦軸に上を「自分で作る」、下を「買ってくる」として、横軸右に「家族で食べる」、左に「他人が食べる」という図式を作ると、京たんくろ和牛が目指すポジションは左上の右寄り。他人に食べてもらうものではあっても、作り手側にあり、「家族が食べる」形にうんと近寄っていく…といったところです。


京たんくろ和牛を、京都へ食べに来てもらう集客型の商品として普及させ、家族で食卓を囲むツールとしてギフトを作りこんできたことに、方向として少し自信をもつことができました。



試行錯誤で試作中のギフトもお披露目


京たんくろ和牛を「京都生まれ京都育ち」とするか、「京都育ち」とするかについても討議。松阪牛も、ほとんどが九州の牛の導入で「育ち」重視だから、京たんくろ和牛も、今後の増産を見据え、「生まれ」より「育ち」でいこうというところに落ち着きました。


そうなるとこれから面白くなるのが、短角牛を放牧して黒毛をかける繁殖の仕事が他県にも広げられると言うことで、たのしい夢が広がります。
滋賀県でも短角牛のプロジェクトが動き始めていますし、岩手県岩泉町の櫃取湿原で見た短角とタンクロの母子放牧の姿も思い出され、タンクロの最終肥育地が京都になることで「京たんくろ和牛」のブランドが活かせるなら、これはとても喜ばしいことになるのではないかと、わくわくしてきました。



京たんくろ和牛膳の前菜で出た手まり寿司は、大好評!


すばらしい実力と志の獣医師松本大策先生に飼養管理をご指導いただき、京とうふのおからを食べて育った京たんくろ和牛の味は、4月のお披露目会のときよりもぐんとおいしくなっているとご評価いただくこともできました。


黒毛和牛とも短角牛とも競合しない、新たな味わいの牛肉として、たくさんの人が幸せになれることを目指し、京たんくろ和牛プロジェクトは2年目に突入します。獣害対策を取り入れた松本先生考案の画期的な自給飼料の増産も楽しみです。


夕方からの事業報告&試食会では、食のプロ、京都の観光を支える方、農業を支える方々といっしょに舞妓さんと芸妓さんも「ご飯食べ」においでくださり、それはそれは華やぎました。



京都の文化を代表しておられる舞妓さんと芸妓さんのプロの立ち居振る舞いの美しさと、おもてなしのプロとしてのすばらしさにはすっかり魅せられました。
「お花代は、牛より安おすえ。よろしゅうおたの申します。」と芸妓の尚そめさん。
すっかり尚そめ姉さんのファンになってしまい、大事にすべき京都の文化を、大恩人の「京とうふ藤野」の社長から教えていただいた1日でもありました。


「京とうふ藤野」の豆腐を食べてくださることで、そのおからが「京たんくろ和牛」を育てることにもなりまっさかい、藤野さんの豆腐もよろしゅうおたの申します。


当日の模様は、専門家委員のおひとり「近江牛のサカエヤ」の新保社長が、下記ブログでご紹介くださいました。

http://sakaeya.keikai.topblog.jp/blog/110/10019302.html


牛肉大好きな参加者のお一人も、「牛肉ってステキ!」というブログで、ご紹介くださいました。

http://beeflove717.blog62.fc2.com/blog-entry-1736.html


関谷江里さんもブログ記事にしてくださいました。
http://erisekiya.cocolog-nifty.com/kyototokyo/2010/02/post-e271.html


本当にありがとうございました。