yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

有難い農家さんとのご縁

yakinikunanzan2008-09-06



8月の好天で刈り入れ時期が早まるはずだったお米は、お盆過ぎからの雨で田んぼが乾かず、どこの農家さんも大変なようです。そんななか、何とか8月末には一番に収穫期を迎える「あきたこまち」が無事南山に届き、9月1日から新米フェアが始まりました。


今年の新米も本当においしくて、食べてくださった方がおもわずおかわりをなさり、店頭に並んだ販売用の新米を買って帰って下さるのですから、よいお米をいただいたものと感謝感謝です。


このお米の生産者さんは、米ぬか農法実践家の茶谷さん。木下牧場さんたちと農畜連携で、牧草も作り、稲わらと牧草を牛に、牛糞を田畑に循環させておられるエコファーマーさんです。


近江悠紀会の会長、岡本甚太郎さんの田んぼの稲も、9月早々に刈り取られ、昨日南山の店頭にはさがけをつくってくださいました。



はさがけにされたお米は「ひとめぼれ」。「あきたこまち」の次に刈り取り時期が来るそうで、このあと「きぬひかり」や「コシヒカリ」が収穫され、われらが「かぐや姫」が一番最後で、10月中ごろに収穫されます。


おかげで、南山では12月頃まで新米の特別なおいしさを味わっていただくことができるのですが、品種の違う稲を植えて収穫時期をずらしていかれる農家の工夫は、聞いて初めてわかることで、何年お付き合いしても、農家さんはすごい! ということばかりです。


さて、南山の周りには、エコファーマーさんがたくさんおられるのでそれが当たり前のように思われがちですが、エコファーマーに認定されるのは大変なことで、土壌検査に合格するために数年かけて土壌改良をする必要もあるそうで、実際にはまだまだエコファーマーに認定されている農家さんは少数派のようです。


「こんな便利なものはない」と、農薬や化学肥料をたっぷり使って劇的な効率化がはかられたのに、その「慣行農法」を、わざわざ手間のかかる省農薬、有機肥料での栽培に切り替えていくのですから、これにはよほどの覚悟が必要でしょう。
私は「慣行農法」のことを「観光農法」と思いこんで、食べるためではなく景色として見せるための観光用の農法のことだろうと取り違えていたのですが、エコファーマーの認定を受けるには、この慣行農法から大きく脱皮せねばならないのです。


そんな大変な仕事を選んだ方の一人、谷口宏心さんを、昨日思い立って美山町に訪ねました。
数十年来の旧知の方なのですが、波乱万丈の人生を歩まれた後出家して仏門に入られたと思ったら、今は美山で三反の稲作もなさる専業農家となっておられるのですから驚きでした。
すでにエコファーマーの認定も受け、自然農法を勉強しながら無農薬で野菜と米をつくっておられるのです。


土がすばらしい畑。 ここではナスや万願寺唐辛子が植えられています。


立派なモロッコインゲンもありました。



万願寺唐辛子は緑色のものが、時期を過ぎるとオレンジ色から赤色に変わるそうで、赤万願寺という品種があるわけではないのです。赤くなると甘くなるので赤い万願寺も人気です。


ここが無農薬の田んぼ。草取りと虫取りに明け暮れる毎日だそうで、まもなく刈り取って、天日干しにされます。


立派なお庭のある旧家を借受けての新規就農ですが、すっかり地元に溶け込んで「町づくり委員」としても活躍しておられる谷口さんは、しかしご自分を「奥様の従業員」と位置づけておられます。



谷口さんの奥さまはかつてマクロビオティックレストランを自営しておられたプロの料理人で、黒ゴマの餡が入ったボタモチ(黄な粉ではなく白ゴマがまぶされています)や、菊桜の砂糖漬けなどを振舞ってくださいました。


米を作っても赤字になるからと放棄された田んぼを借受けた新規就農の谷口夫妻・・・。加工して付加価値をつける技術もお持ちで、あとは販路のみ! 無農薬野菜の付加価値をアピールしてくださるスーパーからの引き合いもきて、何とか明るい見通しもついたようです。


水と空気と町のたたずまいすべてが美しい美山。ここでは今が万願寺唐辛子の旬。今日から南山では、谷口さんの無農薬の万願寺唐辛子をメニューにお出ししています。