yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

ブランド=信用をつくるということ

yakinikunanzan2010-02-21



南山では、圧倒的に有名なブランドの近江牛を取り扱っています。


このたび“認定「近江牛」指定店”として立派な登録証をいただいたのですが、これは年間250キログラム以上の近江牛(但しA4・B4以上の認定近江牛)を販売していることが条件で、南山では年間12頭(約5トン?!)ほどを仕入れているので、南山は、「京都で近江牛を食べさせる店」としては、かなりのものだろうと思います。


近江牛の定義は、「豊かな自然環境と水に恵まれた滋賀県内で、最も長く肥育された黒毛和種」ということなので、滋賀県で長く育ちさえすれば近江牛と言うことになってしまい、そこでこの「認定近江牛」と言う「格付けの高い近江牛」の区別ができて、指定店の登録制度もできたというわけです。


でも、南山では、「牛の健康を配慮して愛情深く育てられた、滋賀県生まれ・但馬の血統の近江牛」をいただいているので、認定近江牛とは別の「生産者ブランド」を売りにしています。



今、南山に出ている近江牛は、平成19年6月11日生まれの「せい」と言う名のメス牛で、木下その美さんが人工授精し、木下牧場で生まれ育った牛。
滋賀県以外の空気を吸ったことのない純粋近江牛です。


このように、最古のブランド牛として認知されている近江牛は、さらに上を目指す中身が競われ、品種として固定している黒毛和種日本短角種は血統書(子牛登記)も発行されるのですが、和牛間交雑のタンクロには、何の登録制度もありません。


やっと「京たんくろ和牛」というブランド名を登録したのですが、これがブランドとして成り立っていくかどうかは全くの未知数で、これからブランドの中身を作っていこうと言うのですから、大変なことです。


年間2000頭余りが市場に出る短角牛ですら一般の流通には乗せられず、認知度も非常に低いのに、年間30頭にも満たない生産量の京たんくろ和牛をどうやって認知してもらったらよいのか、そこにどんな意義を見出せるのか、本当に迷いながらの「農商工連携事業」を進めています。



短角牛のことを知ってもらい、黒毛和牛のことを知ってもらい、その上でこの2種の和牛間交雑「タンクロ」を知ってもらうしかないのですから、気が遠くなるような広報活動をせねば、ブランドとして受け入れられるようにはならないだろうと言うことがじわじわと骨身にしみてきています。


そんなわけで、展示会にはせっせと出て行って宣伝しているのですが、先日の京都ビジネス交流フェアでは、にわか仕込みの営業マンが登場しました!




京たんくろ和牛弁当を販売しているところへやって来た友人の息子を捕まえ、彼の営業マンとしての実力を見せてくれ!とおだて、南山のお弁当をひとつ手渡して「これ持って客寄せをしてきて!」と頼みました。


いまどきの若者なのに、なんと素直に面白がって、「行ってきます!」とどこかに消えたと思ったら、早速お客さんが次々にやってきました。
「あんたとこ、すごい営業するなぁ〜。」と、南山のショップカードを手に、お弁当を買いに来てくださった紳士が感心して(あきれて?)下さいました。


このまじめな営業マンは、注文をとったお弁当の配達までやってくれ、早々に完売のめどが立ったので、見本に手渡されたお弁当は彼の報酬として「食べてよし!」と言うことになりました。


当然食べる場所は南山の展示ブース前!
「そこで思いっきりおいしそうに食べてパフォーマンスするんやで!」と命じられ、彼はそれはそれはおいしそうにお弁当をたいらげてくれました。



もうすぐ25歳になる前田大樹くん。まじめにエコを考える省エネルギー&環境アドバイザーが本業ですが、この若手営業マンは、南山の弁当屋という肩書きも得て、「弁当屋の兄ちゃんってふうに、いろんな人に顔を覚えてもらえてよかったです」とすばらしい感想を述べてくれました。


要するに、愛されて何ぼ! 若い営業マンの兄ちゃんに、「売る人がええ人なら売れる」と言うことを教えられた次第です。