yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

知ることの重みと焼肉屋の使命part2


日本海牧場さんの短黒の母牛(短角牛)放牧や、土佐のあか牛など、素牛(繁殖用のお母さん牛)を放牧する畜産は、あちこちで見られるのですが、「いわて短角和牛」は、お肉になる牛も4ヶ月以上放牧されていることが条件の地域ブランドです。


モクモクさんからいただいた北里八雲牛を試食してみて、ほとんど粗飼料だけで育った放牧牛がおいしかったことをよりどころに、短角牛の生産現場をもう一度見てみたいと思い立ち、9月17日に岩手へ行ってきました。


危ぶまれたお天気は、運よくこのたびも見事な晴天!! 夏の暑さでした。


私たちが初めていわて短角和牛の放牧風景に圧倒された3年前の秋も、ギフト用の短角牛の仕入れに岩泉町を訪れた2年前も、そしてお客様をお連れして産地交流ツアーを仕立てて出かけた昨年7月も、あっぱれな、晴天でした。
今回、4度目も見事に晴れたのですから、これはよほどのご縁を感じずにはおれません。


おかげで、盛岡からレンタカーですいすいと岩泉に到着し、生産者さん、農協の担当者さん、岩泉町役場の方々、農業普及員さん、短角牛のカットを担当して「いわいずみ短角牛」を広めておられる岩泉産業開発の皆さんなど、短角牛関係者の方々がお集まりくださり、生産現場の現実をしっかり教えてくださいました。


岩泉までは、盛岡から更に遠い遠い遠いところという気がしていましたが、早坂トンネルが開通したおかげで、本当にスムーズにつき、途中で素敵な道の駅で一服する時間も取れました。




そして翌朝は、われらがプレミアム短角牛(仮称)のいる牧場へ。昨年は畠山さんの牧場を見せていただいたので、今回は佐藤安美さんのところです。


こちらは2シーズン放牧された短角牛たち。秋・冬用に、南山が分けていただきたいたい希少な短角牛です。


そしてこちらが、デントコーンのサイレージで肥育されているプレミアム短角牛。10頭がひとマスに入ってデントコーンにフスマをかけた飼料を1日20キロ(1頭当たり)食べているとのこと。
つまり1日200キロの餌がこの選ばれし短角牛たちに与えられるというのですから、これは大変な重労働です。餌やり係の佐藤安美さんの奥様の腕っぷしは、相当なものになっているとのことでした。




配合飼料(濃厚飼料)で育てられている通常肥育の短角牛も同じぐらいの頭数がいましたが、佐藤安美さんに解説していただくとその違いは一目瞭然。背中のラインがぜんぜん違うのです。
プレミアム短角の次に背中がすっきりスリムなのは2シーズン放牧の短角牛で、通常肥育の短角は、背中のラインが丸くなって、かなりの無駄脂がついていそうでした。


さて、私たちが一番知りたかったプレミアム短角に選ばれる子牛の条件とは・・・!!
まだ実験2年目に挑戦中のプレミアム短角、これに選ばれる条件は単純で、餌の食いつきで負ける牛が出ないよう、今回は同じぐらいの体形の元気そうな牛が、選ばれたのだそうです。


佐藤安美さんの牧場の、繁殖牛舎の裏手には広々とした放牧場もあり、そこには黒毛和牛の親子も、のどかに草を食んでいました。



経営的には黒毛和牛を飼ったほうがずっと楽なところを畠山さんと佐藤さん、このお二人は短角牛のかわいらしさに取り付かれ、気の遠くなる手間隙のかかるプレミアム短角牛の肥育を各10頭ずつ引き受け、来年出荷の20頭を育ててくださっているのです。


この値打ちと味の良さを知っている私たちには、プレミアム短角牛の値打ちを消費者に理解してもらう責任を感じずにはおられません。この重責をうんと楽しい仕事にできるよう、短角牛関係者の方々と、う〜〜んと楽しんでも来ました。


・・・困ったことに、ほとんど記憶にない宴会でも盛り上がりました。


岩泉町の伊達町長が南山の江口を激励してくださいました。
岩手短角牛振興会を略した「岩短振」をアルファベットで「Gan Tan Shin」と縫い取られたかっこいい帽子も頂戴しました。






盛岡に戻ってからは、岩手県庁の流通課と畜産課を表敬訪問。
職員の皆様にご挨拶をさせていただく場も頂き、岩手の農産物のセールスマンとしてなんども京都へ足を運んでくださった流通課のみなさまに、短角牛とのご縁をつないでいただいたお礼を伝えることができました。




岩手の皆様、本当にありがとうございました。


・・・そして、岩泉の皆様、おいしいお酒をありがとうございました。記憶にない部分、どうぞお許しください(汗)。