yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

知ることの重みと焼肉屋の使命

yakinikunanzan2008-09-21



有限会社シェパード中央家畜診療所代表取締役松本大策先生は、ご自身のサイトの中で、食の安全について、次のように述べておられます。

「本当の食の安全」で、最も大切な最低限の事ってなんでしょう? それは、「食べ物がある」ということです。・・・最低限の「食の安全」はまず自国の生産者を護る、ということから始めないといけません。・・・


そして、松本先生は、家畜の飼料効率を10%改善することを具体的数値目標に、その手段として「家畜の病死を防ぎ、繁殖効率を改善すること」を、獣医としての使命に据えておられます。



松本大策先生


その10%の根拠と言うのが明快で、これは誰もが知っておかないといけない重要なことなのに、私は松本先生に出会うまで具体的な数字として知りませんでした。

・・・みなさんは、世界中でいったいどのくらいの穀物が作られているかご存じですか?実は6億トンです。しかもその内の4億トンは家畜の飼料で残りの2億トンを直接穀物として人間が食べているのですが、その80%は先進国で消費されています。かたや、1分間に20人もの人が飢餓で死んでいます。その内17人は小学校へ上がる前の子供達だそうです。この人達を救うために必要な穀物料が、たったの4,000万トンだそうです。そう、家畜の餌の10%なんですね。・・・


飼料効率のよい「放牧の牛」が、最近ようやく注目されはじめたようですが、現実は激減する一方で、これは、牛肉の評価が、味よりも見た目の霜降り度で評価されることが原因といわざるをえません。


それでも、畜産の現状からすると、放牧や自給飼料の活用に活路を求めねばならない事態に来ているのでしょう。このところ、畜産関係の方が南山にご来店くださることが増えています。


先月の末においでになったのは肉牛ジャーナルの編集長瀧川昌宏先生。肉牛ジャーナル9月号で、「地域に根ざした放牧型肉牛生産」の特集を組まれ、そこに日本海牧場の短黒の記事を詳しく掲載されたとのことで、南山に短角と短黒を食べにこられたのでした。


お話を伺うと、瀧川先生は「近江牛物語」の著者ではありませんか! 私はこの本を3年前に岩手の「牛博物館」で購入して持っていたので、早速サインをしてもらいました。


瀧川先生は、ずいぶんユーモアのある方で、この本の扉に「日本短角和種の振興を!」と一言添えてサインしてくださいました。



↑木下牧場のワラ集め風景(木下牧場ブログより)


また、9月の連休においでくださったのは、高知の畜産関係の行政マンKさん。プライベートで滋賀県を訪れ、その広大な稲作地に点在する牛舎を見て感嘆され、近江牛を食べようと、わざわざ京都の南山に立ち寄られたのでした。
「短角牛も置いている南山なら、きっといい近江牛を食べられるだろうと思って・・・」とのことで、「黒毛和牛でこんなにさらっとしたおいしい肉が食べられるとは!」と、驚いてくださり、もう、こちらも南山の近江牛物語を語りだしたらとまりません。



↑南山はなれのロビーに飾られた斑入りのススキ

ちょうど南山はなれのロビーでお抹茶のサービスをしているところへおいでくださったおかげで、いろいろ牛肉談義に花を咲かせることができ、土佐のあか牛についても興味深いお話を伺うことができました。


9月の連休には、洛北でハーブやお野菜を作っておられる吉田さんが、名月に添える斑入りのススキとフジバカマをたくさん届けてくださり、お客様にプレゼントさせていただきました。
(吉田さんは手塩にかけて育てたお茶花用のススキとフジバカマの水かえや補充に連休中なんどもお店に足を運び手入れをしてくださいました。本当に感謝です。)


そして、思ったよりゆとりのある(汗)連休最後の敬老の日には、茶道のお点前修行中のスタッフたちが、はなれのロビーでお抹茶をお客様に振る舞ってくれ、閑な9月だからこそできるささやかなおもてなしをさせていただき、そのおかげで高知からのお客様ともお出会いすることができたのでした。


こうしてスタッフたちは、久々にお客さまから「ありがとう」と喜んでもらえる充実感を味わって、仕事の原点に触れる体験を積んでくれたのでした。


閑だからこそできること・・・。毎年オロオロそわそわジタバタしていた9月ですが、今年は焼肉屋の使命を探求し、勉強を重ねています。



上の画像は、モクモクさんからいただいた北里八雲牛。放牧と自給飼料100%で育てられている短角牛×サラー種の交雑種のお肉です。これが粗飼料だけで育ったお肉か! と驚くような、癖のないよい味のお肉でした。


ほとんど粗飼料(デントコーンの茎も葉も実もサイレージにした飼料中心)で育ったプレミアム短角牛(仮称)の味の良さを裏付けるものが確認できたような気がして、9月17日には岩手県の岩泉町へプレミアム短角牛生産者さんに会いに行きました。