yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

硬いお肉の、味のある物語

yakinikunanzan2008-06-26



今日から南山のおすすめメニューに、合鴨の料理が登場しました。
右の写真は、合鴨のガラでとったスープを冷たいジュレにした盛岡冷麺です。
トッピングは合鴨のスモークと九条ネギ。
カモネギとはよく言ったもので、さすがに相性が抜群です。


こんな粋な新メニューを、南山の力でつくれるはずがありません。
昨日のFARCAの交流会「食農協働ネットin京都」の会場が南山だったおかげで、合鴨を使った料理を福岡のグラノ24Kの鶴田シェフから伝授していただけたのです。


合鴨のネギ塩焼きも、昨日習ったとおりに(?)試行錯誤しながら、今日のメニューに登場させました。




ところで、昨日の「食農協働ネットin京都」では、アイガモ農家の古野隆雄さんのご講演のあと、奥様の古野久美子さん、熊本大学の徳野貞雄先生、ガン患者として食を見直し人体実験中のモクモクの吉田専務が並んで話題提供。
食と農について深くてコクのある愉快なお話をたっぷり聞かせていただくことができました。


古野さんのアイガモ農法にかけるエネルギーはすさまじく、アジアの米づくりに大きな影響を与えておられます。どこへでもご指導に行かれ、また研修も受け入れておられるのです。
それでも、「人生でたった30回ほどしか米づくりをしないのに、うまくできるはずがない」と言ってのける潔ぎよさ! 
失敗を積み重ね、成功するまでやり続ける古野さんのかっこよさには、ため息が出ました。
「井戸は100m掘ろうが1000m掘ろうが、水が出なければ意味がない。水が出るまで掘る。」それが古野さんのプロフェッショナルな仕事の流儀なのです。



古野さんは、「沈黙の春」を読んだことを機に無農薬の米づくりを始め、以来雑草と戦い続けてこられたのですが、アイガモ農法と出会ってからは、田にはドジョウ、なまずと共にアイガモ。
畦には花や実のなる木を植え、米の収穫時には、イチジクの実、アイガモのお肉やドジョウも同時に収穫される…という豊かさです。
古野さんはおかずとお米が一度にできるアイガモ農法を「一鳥万宝」と表現されています。


「日本の耕地面積からすれば、これぐらいせねば追いつかない」と、おっしゃった言葉も印象的でした。
食糧難への備えは、生産性を上げることしかないのですから・・・。


このすばらしいアイガモ農法を続けていくには、アイガモを食べてくれる人が必要です。


昨日の交流会でのメニューのために、古野さんのアイガモ25羽が用意され、合鴨のネギ塩焼き、合鴨の冷麺のほか、合鴨の雑穀米サラダ、合鴨のコンフィー(味噌漬けにした合鴨を低温の油でじっくり揚げたもの)をグラノの鶴田シェフがご用意くださり、南山からは京野菜の料理や短角牛・近江牛のロース、かぐや姫古代米のおにぎり、岩手山葡萄のゼリーなど、どれもが「生産者さんの思いを伝えたい」とっておきの食材を選んでパーティーメニューを組みました。


加茂ナスのあっさり夏田楽には、大根おろしの上にしば漬けとオクラと茗荷をトッピング。
これは、京野菜マイスター・文蛾のオーナー平田もと子さんにご指導いただいた1品です。
短角牛のたたきを京水菜の上に乗せて九条ネギとニンニクのペーストと松の実をトッピングしたものや、短角牛のしぐれ煮に白髪ネギをトッピングしたもの。
トッピングの大切さは、平田もと子先生の仕込みです。



万願寺唐辛子も平田先生からのご指導で、素材を味も形もできるだけそのままに! ということで、中に鰹節を少し入れて軽く焼いて薄く塩をし、そのままでも野菜焼きでも楽しめる1品に。
上賀茂トマトは南山のトマトサラダ用ドレッシングを柔らかいめのジュレにしてレモンジュレも散らしました。



加茂ナスと伏見甘長唐辛子は、南山の定番の韓国風です。小麦粉を薄くまぶして蒸したものに、辛味タレをかけて・・・。
こうするとナスの色は鮮やかなままで、野菜の旨みもそのまま残ってくれます。


山を守ってくれる短角牛と、田んぼで働いてくれるアイガモ…。どちらも歯ごたえと深い味わいのあるお肉です。
噛むことの大事さを思い出させてくれる合鴨のお肉を食べながら、食べることでたくさんの生き物たちが幸せになれる食材を、南山では選んでいきたいと思いました。


食べるということは、消費ではなく、生命の再生産。
食べてもらえることによって、より多くの命が芽吹き、たくさんの人が幸せになれる「食」を大切にしていきたい!と、思わされたことでした。







この日は朝8時半集合で、FARCA事務局は大忙し。ミニ直売所や会場の設営、午前中の総会を終えると、午後からの交流会の会員の受付、司会、案内、ミニ直売所の売り子などなど・・・。会費も払って立ち働くのがFARCAの事務局。
会計の収支もぴったり合い、お疲れ様の記念写真には、みなの顔に達成感が!


本当に皆様ありがとうございました。