yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

いわて短角和牛の魅力をとことん味わう会

yakinikunanzan2007-11-21



11月20日、ついに、短角牛の生産者さんたちをお迎えしての交流会が開催されました。
この日のためにと長澤源一さんが送ってくださったお野菜は、迫力満点! 
長澤さんは有機JAS認定の気骨のある農家さんで、現在同志社大学の大学院で学生もなさっている、痛快な方です。


荷を解いて記念写真などを撮っているうちにふと見ると、道に迷ったアオムシ君が椅子の背をよじ登りながら困ってました。これこそ安全マークです。




岩手の合砂さんからは安家地大根(あっかじだいこん)が届き、長澤さんのお野菜と一緒に交流パーティー会場に飾らせていただきました。
岡部農園さんからのお野菜も、本日の「畑のサラダ」のお野菜紹介ということで隣に並びました。




この日の行事第1部は、南山の厨房公開です。本日お出しするお肉を皆さんに見ていただき、南山の若き取締役江口宏樹が、いわて短角和牛のモモ(マル)をさばいていきます。
2年前の勉強会では森安常義先生にさばきの実践と解説をしていただいき、牛心の皆様に助けられて国産牛食べ比べ試食会をしたのですが、今回はこれを江口がひとりで担当し大勢が見守ります。

このお肉は、岩泉町・釜津田の畠山さんのところで肥育された31ヶ月齢のメスです。
戦前から「牛肉の味」を追求してこられた牛肉のエキスパート松澤秀蔵先生に短角牛の特徴などを解説をしていただきながら、いろいろな質問が飛び交いました。


この畠山さんのお肉、松澤先生にしっかり見ていただきました。牛にストレスがあったかなかったか、松澤先生は肉を見ればお分かりになるのです。
「大丈夫、ストレスは見られません」とのことで大安心! 


このチャンスを捉え、近江牛.comであまりにも有名なサカエヤの新保(にいほ)社長にも肉の熟成のことなど、教えていただきました。



次は、この日食べ比べるロースを見ていただきました。


左が但馬牛品評会で優秀賞を獲得した近江牛(A5の去勢)。右は、佐藤安美さんのところの31ヶ月齢のメスの短角牛。

ロースはこのほかにも19ヶ月齢の短角牛(去勢)を用意しました。



上の画像が19ヵ月の去勢の短角、下が31ヶ月のメスの短角、その下が33ヶ月の純粋但馬の近江牛(去勢)です。




先ほどさばいた畠山さんのところのマルは、お刺身と、モモの薄焼きになりました。



上の画像は牛刺しですが、畠山さんのお肉(画像の上)の美味しかったこと!! きめの細かな最高のお味で、感慨深い感動を味わいました。

というのは、この美味しさには、とても考えさせられる事件が隠されていたからです。
前回いただいた畠山さんのところのお肉が、いつもとは全く違うものだったので、その原因を探っていたところ、それは畠山さんがお怪我で入院されている間に出荷された短角牛だったのです。
そして今回のお肉、こちらは、畠山さんが退院された後に出荷されたもので、飼い主がそばにいる安心感が牛肉の味を左右したとしか言いようがなかったのです。


短角牛は飼い主の声だけでなく足音やバイクの音まで聞き分ける、とても人懐っこい牛で、特に畠山さんのところの牛の人見知りしない伸びやかさは、7月に岩手で十分見ています。(下の画像が7月にお訪ねした畠山さんのところの牛です)



畠山さんのご入院中、ここの牛たちはどれほど心細い思いをしたことか・・・。
そして畠山さんが退院されて、どれほど安心したことか・・・、そういう感動がありました。


厨房公開と食材の見比べのあとは、4階のカルチャーホールで参加者の交流と短角牛談義。
近江牛の繁殖肥育一貫経営をなさっている木下牧場さんもおいでくださり、短角牛と「木下牛」の共通項を沢山見出してくださいました。
子牛を母牛のそばで母乳で育て、飼料も自給という木下牧場さんの取り組みは、黒毛和牛は子育てが下手だという思い込みを覆すもので、要は、飼い主さん次第! という当たり前すぎる結論を見出したのです。



交流パーティーでは、出されたメニューのすべてを「見た目(色)」、「香り」、「味」、「調理法」について5段階評価をしていただきながらの食事。
皆さん真剣に食べてくださり、緊張感あふれる交流会となってしまいました。



少年対熟女、19ヵ月の若齢短角と出荷月齢24ヶ月を超えてしっかり肥育された短角牛の味比べは・・・!!
南山の人間が19ヶ月の短角牛に出会うのはこれで3度目ですが、これまでも、今回も、19ヶ月齢でもおいしかったのです。
いうならば、短角牛らしい味。クセのない、いやみのない味とでも言えばよいでしょうか。


そして31ヶ月のは・・・、「短角牛だと知らされずに食べれば、交雑種と思うかもしれない味」とプロから評されてしまいました。


とはいえ、参加者の味覚体験によって、どの肉をどう美味しいと思うかは十人十色で、味の評価はそれこそ大混乱!


そして、純粋但馬の近江牛のほうはというと・・・、全国但馬牛品評会で優秀賞! という前宣伝による期待が大きすぎたからか、残念ながら「いつもの、岡喜さんからいただくお肉のほうが美味しいやんか・・・」という妙な結果になったのでした。


それでなくとも個体差の大きな牛肉・・・。いろんな思い込みやブランド信仰を白紙に戻して、お客様からの声をしっかり聞き続けるしかないのかもしれません。


今回の交流会を通して、食べる側の情報とつくる側の情報を共有し、信頼関係をさらに確かなものにしたいと思いました。



全メニューを5段階評価するという過酷な食事は、どうにも消化に悪いものになりましたが、長澤農園さんのお野菜(壬生菜・小カブ・ほうれん草)でつくったナムルは、とても美味しくいただけました。


せっかくの素材を十分に生かしてはいない南山側の調理法にも厳しい評価が下り、行けども行けども道遠し・・・。
もっともっとがんばらねば! です。


本当に、皆様ありがとうございました。