yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

近江牛の勉強会(捌き編)

yakinikunanzan2006-09-05



―9月4日続き―


屠場見学ですっかり時間をとってしまい、
岡喜の常務は待ちわびておられました。
急いで枝肉を岡喜本店に入れ、早速常務の捌きが始まります。


大勢のギャラリーを前に、緊張しながらも
ユーモアたっぷりの解説をまじえ、枝肉を捌いていってくださいました。


常務の腕にあるいくつもの縫い傷が、この仕事の大変さを物語っています。


常務のもとで丸1年修行した若者も、緊張しながらウデ(前足)と格闘。


常務は、どんどん枝肉を解体していきながら、隣で作業する若者を指導。


ロースの骨抜きをしながら、骨を並べて見せてくださいました。
背割りが中心をそれていたので、やりにくかったとのことでした。


ヒレは運動に使われない筋肉だから柔らかいなどなど、各部位の特徴を
懇切丁寧に教えてくださり、最後はモモです。


スタッフたちは、細かな部位の位置を自分の体に照らして納得しようと、
しょっちゅう牛の格好をして枝肉に向きを合わせようとしていましたが、
そりゃぁ無理です。


後ろ足(モモ)が上になってつるされているのですから、位置あわせしようと
思えば、逆立ちするしかありません。


やはり「自分とこの牛」への愛情でしょう。常務の捌きは、赤身肉を骨に残さず
丁寧に、丁寧に、こそげられ、奇麗な赤身肉と、真っ白な骨とに分かれていきました。


南山の選んだ枝肉は、1時間半ほどで南山使用の部分肉になってパックされ、帰りに、
岡喜牧場も見学できました。



健康そうなかわいい子牛たちも、のんびりと午後を過ごしていました。


岡喜さんの牧場では、「自然に育てるのが一番」と、無理なビタ欠はされません。


自分のところでお客様に食べていただく精肉販売と近江牛レストランを経営して
おられるので、見た目より当然味にこだわった飼育がされるのです。


近江牛は、生産者さん自らが販売もされるところが大変多く、90%近くが
滋賀県内で取引されます。


見た目の刺しで評価の決まる大きな市場にはほとんど流れないせいか、
「豊かな自然環境と水に恵まれた滋賀県内で最も長く育った黒毛和種」と、
近江牛の定義は最近改められ、格付け等級基準が外されました。


見た目ではなく味本位に作られるのが近江牛ということになれば、近江牛
ブランドは、改めて再評価されるのではないかと思います。


今回仕入れたのは、ビタ欠でつくったニセ刺しではないA5等級の枝肉。
これはきっと美味しいだろうと思います。


近江米新米フェアーを応援する近江牛の心意気、ここにあり!