yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

牛肉の調査研究事業 最終回

yakinikunanzan2006-01-26



万感胸に迫り、簡単に書けないのが、昨日で終わった調査研究事業のことです。


2001年9月のBSE発生時、パニックになって納入業者のお肉屋さんに
電話をかけ、「うちのお肉は大丈夫ですか?」と問い、しどろもどろで
「大丈夫です」と自信なさげに答えた業者の言葉を言質にとって
『南山のお肉は、安心してお召し上がりいただけます』というポスターを
店頭に貼り出しました。


それが売上げの回復になど全く結びつきはしませんでしたが、このことは、
今でも後ろめたい思い出となっています。


当時、誰が牛肉の安全安心に自信を持てたでしょうか・・・。
それは、今もあまり変わらない状況にあると思います。


「安全・安心について本当に自信のもてる牛肉を売りたい」という願いから
『安全・安心な食肉仕入れと牛肉料理提供方法の調査研究事業』を立ち上げ、
昨年6月から専門家委員の先生方と、本当にたくさんの貴重な勉強をしてきました。


お忙しい中、一介の焼肉屋に振り回されてくださった先生方が、昨日の最終回では、
「本当におもしろかった。楽しかった。勉強になった。ありがとう。」と、別れを
惜しんでくださり、4月にはOB会をやろうと、視察旅行の計画もできたようです。


最後のまとめの会でこの1年を振り返り、「生産者さんと飲食業者がもっと近い
関係にならないと安全・安心はつくれない。そのためにはどうすればよいか」という
ビジョンも固まり、本当に晴れ晴れとした事業の終了式と謝恩会ができました。


「枝肉仕入れによる1頭つかい」は、生産者さんと近い関係になるための
飲食業者側の大事な要件です。


このため、枝肉仕入れで一番難しい、つかいにくい部位からの商品化を
この日の講習会のテーマにしました。


皆で厨房に入って見学するなか、生産者側の椎名さんからは効率のよい
切り方、歩留まりのよい商品化の提案を見せていただき、牛心さんからは、
クラシタを商品化する「コツのコツ」という部分を見せていただいたうえに、
謝恩会で食べる部分も切っていただきました。


つかったお肉は、椎名さんの八千代黒牛と、岡喜さんの近江牛
近江牛は、今年の初仕入れで枝肉の断面を指でこすって味見して選んだ
自信のお肉です。


クラシタやウデという部位からでる硬い部分(カタコブ、ネック、カワラ)でも、
近江牛を薄切りの焼きしゃぶ仕立てにしてみると、「おいしい! これは塩味
が合う! 酒は焼酎が合うはず!」など参加者から歓声が上がりました。


近江牛カタコブの焼きしゃぶ


近江牛ネックの焼きしゃぶ


近江牛カワラの焼きしゃぶ


ほかにも近江牛ミスジ、八千代黒牛のマルシンとハネシタを刺身で食べ、
八千代黒牛のクラシタロース、近江牛のクラシタステーキとクリミの角切りを
タレ焼きで食べました。


「焼肉をひきたたせる野菜料理」もテーマに加えた会食でしたので、南山の
自信作キムチやチヂミ、青菜の辛味スープに加え、南山のチャングム(?)の
いる比叡平のお店からは「10種類!のナムル」、「牛すじと野菜煮込み」、
イカの塩辛南山風」も届けてもらい、大好評でした。
本当に大変おいしかったです。


(すいません。「カワラの焼きしゃぶには焼酎が合うはず!」という声が、
「焼酎も飲みたい」という意味だったとは気づかず、ビールだけで終わって
しまいましたが、「焼肉をひきたたせる飲み物」も研究したいものです・・・)


残念ながら森安常義先生のご欠席で、牛匠「牛心」と肉匠「もりやす」の夢の
コラボレーションはかないませんでしたが、焼肉屋にとって一番必要なことを
テーマに、充実した講習会とまとめの会ができました。


専門家委員の吉田修氏、千葉哲幸氏、伊藤勝也氏、椎名寿行氏、森安常義氏、
そして委員長としてこの事業を構築してくださった青木隆夫氏と、視察や
先進事例研究等で大変お世話になった皆様方に、心からお礼申し上げます。


こんな貴重な体験ができ、まだ夢でも見ていたような気持ちでいます。
本当にありがとうございました。


あとは、これを2月15日までに報告書にまとめる苦行が・・・、
現実として待っています。



10種のナムル(きゅうり、もやし、大根、蓮根、にんにくの芽、カボチャ、にんじん、ぜんまい、ナス、しし唐)