業界用語?
「牛肉」の勉強を始め、枝肉仕入れに取りくむまでの南山は、
他店の商品価格を参考にメニュー価格を決め、その売値に合う
牛肉をお肉屋さんから持ってきてもらうだけの焼肉屋でした。
本当にお粗末な無知ぶりでしたので、牛にはオスとメスがいる
という当たり前のことにすら気がついていませんでした。
部分肉の塊を見て、それに雌雄の別があるなんてこと、思いも
よらなかったのです。
ですが、なぜか「経産」という単語には昔からなじみがあり、
オス・メスの違いには思い至らなくとも、質の悪い安い肉という印象が
しっかりインプットされ、「初産婦さんでーす!」と大切に分娩室に
運ばれてお産がすむや、「経産婦になったのか〜」と愕然としたものです。
ですから、牛肉を扱う業界の男性方が「経産」という言葉を安々使うこと
には、なにやら抵抗感を感じていたのですが・・・。
今では肉用に肥育されるオス牛を「去勢」や「ヌキ」と平気で言う
業界人になってしまい、夫が冷や冷やしているようです。
国産牛の食べ比べ試食会で、黒毛和牛のオス・メス・経産・・・という風に
記載していたところ、生産者さんから「オスはオスで、去勢とは別物です」
と注意を受け、やはりそこはきちんとした業界用語を正しく使う必要性が
あるということを認識させられました。
あるお祭りで、赤フンドシのオヤッサンから、「おーい、焼肉屋。この肉どうぉ?」
と、でかいお尻を近づけられたことがあるのですが、とっさに
「いえ! タマアリは、まずくて食べられませんから〜」と
逆セクハラをやってしまい、場の空気を固まらせてしまったことがあります。
ここまで来ると感覚麻痺も重症です。
心して慎みを取り戻さないと・・・と反省しています。
お客様には、もっと食欲のわくような言葉を捜してご説明せねば
大失敗しそうです。