yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

銘柄牛と産地表示について

yakinikunanzan2006-01-02



トレーサビリティ法施行前までは、優良な交雑種が
黒毛和牛として売られていたように、有名銘柄牛も
かなりあいまいなところがあったようです。


例えば県外から運び込まれた牛が有名銘柄牛の産地に
トラックに積まれたまま一泊し、その銘柄を名乗る牛肉
となることも、よくある話だったようです。


そういう慣習があったためか、トレーサビリティ法施行後
有名銘柄牛も極端な品不足となりました。


マスコミをにぎわした近江牛の偽装問題も、需要に対応
するための、やむにやまれぬ行為だったのでしょう。


牛の成育履歴を改ざんしたということで逮捕された方は、
少なくとも「近江牛」の名に懸けて、近江牛として決して
遜色のない血統と品質の牛を、「近江牛」と称して売られた
だけなのではないかと思います。


松阪牛同様、近江牛も、県外から買ってきた子牛を
滋賀県下で育てれば、格付け等級A4以上の牛が
近江牛」という銘柄牛になるのです。


要は、銘柄で選ぶのではなく、真空パックされる前の枝肉を
目で見て触れて、生産者さんから血統や健康状態を確認して
仕入れている南山の産直「近江牛」は、何よりも納得のいく
牛肉だと、つくづくそう思います。


余談ですが、現在の産地表示基準を逆手にとって「牛を回す」
というおもしろい手法もあるようです。


つまり牛が30ヶ月ほど生きる間、ひとところで長くいすぎては
そこが産地となってしまうため、わざわざ他県へ移動させ、
極端に言えば6ヶ月ずつ4箇所で過ごした牛を、最終的に
有名銘柄の産地に持ってきてそこで7ヶ月以上育てて出荷すれば、
偽装ではなく正しい表示の銘柄牛になるというのです。


こんなことまでして牛にストレスを与えるよりは、
コンピューターの方を操作してもらったほうがいいぐらいです。


近江牛の偽装表示問題で逮捕されたという方は、実際には
近江牛」を心から愛してがんばってきた方なのだそうです。


*写真は、南山の産直「近江牛」の枝肉選定。あらかじめ選んでおいてもらった中から説明を聞き、「南山で売りたい!」と思う枝肉を選ばせていただく。選んだ枝肉はすぐさま岡喜の常務が骨を抜いて正肉にしてくださるのだが、やはりご自分で育てた牛への愛情は深く、肉から骨を外す作業はとてもていねいで、毎回見ほれてしまう。まるで嫁入り支度のような出荷作業を見てしまうと、こちらでも、とびっきりおいしい焼肉としてお客様に召し上がっていただかねば!と責任を感じる。