yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

銘柄牛、悲喜こもごも

・・・ということは、仔牛の産地ではない近江や松阪のブランドは
その伝統的な肥育技術と水質だけが違う(!?)ということで、
有名銘柄牛の中では、神戸ビーフ・但馬牛だけが、仔牛の繁殖から
肥育まで一貫している銘柄といえます。


とはいえ、純粋但馬の仔牛を買って近江で育てることはできますので、
南山が岡喜さんから仕入れた但馬の牛は、「純粋但馬の近江牛
というふうにメニューに書かせていただいています。


この但馬の牛を仕入れた折に、但馬の牛は脂肪が薄くてやわらかく、
だから風邪もひきやすくて虚弱なんだと教えていただき、
「兵庫で育てて神戸で売れば、こんな値段では手に入りませんよ」
とも伺いました。


かたや仔牛の産地宮崎へ仔牛のセリを見に行った時には、
岡喜さんがどんどん競り落とされるのを応援していたのですが、
宮崎の肥育農家さんからは、
「宮崎の仔牛の良いものは、全部近江や松阪に持っていかれる。
宮崎牛”はブランド力がないから、高い仔牛は宮崎では育てられない」
と聞いていたのでした。


仔牛の価格や、飼料代、畜舎の維持費等々を積算すると、枝肉相場は
決して高いものではなく、これで人件費は出せるのかなと心配になるほどです。


ブランド力のおかげで和牛農家の持続可能な価格が維持されている
とすれば、銘柄というのは大変大事なものだと思います。


焼肉屋が、和牛を安く仕入ようとすることで「いつ廃業しようか」と
思いながら泣く泣く和牛を育てる農家が増えていくことになるなら、
これは、大変悲しいことではないでしょうか。


今年の但馬の仔牛は、またまた値が上がったそうです。2年先に、
今年導入された但馬の牛を分けていただけるかどうかは
ちょっと難しいかもしれません。 でも・・・


岡喜さんが日本各地の仔牛の中から選んで育ててくださっている黒毛和牛、
これが、南山の産直・近江牛なのです。