yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

肉食批判に対峙しエシカルな牛肉を追求

短角牛というマイナーな和牛をアピールする事に一生懸命になりながら、もう一方で「肉食」という事への批判にどう対応するかという問題にも悩みました。
肉食は癌や肥満、血管障害をもたらす(?)という健康上の批判、環境を汚染するという批判、そして肉食は貧しい人から食べ物を奪い飢餓を生むという批判、更に、動物虐待への批判と業界への蔑視や、そこに横たわる差別問題にも向き合ってきました。
どんな牛肉ならば自信を持ってお客様に提供でき、この業界に携わるものが誇りを持ってより良い仕事に専念できるのか、私たちは生産者さんや流通業者、飼料会社さんや研究者、獣医師たちとも一緒になって勉強し、考えてきました。
その結果、今は、それらの批判をすべて跳ね除けて自信を持てる愉快な焼肉屋になれたかな、というところにいます。
まず、健康問題について、私たちは「糖質制限食」という目からうろこのような鮮やかな食養生について学び「焼肉ダイエット」実験も成功させ、牛肉がいかに体に良いものであるか、ほぼ毎月のように料理教室や「食と健康セミナー」などのイベントを開催して、美容食・健康食・長寿食としての赤身肉の効用をアピールしています。「人も牛も脱霜降り!」とばかりに、医師や管理栄養士にもご指導いただいて、糖尿病患者の方々に喜ばれる糖質オフ焼肉メニューも提供しています。  
環境問題については、放牧や自給飼料率を高める事と耕畜連携で地域の農を支える役割を畜産農家が担ってくださっていることで説明がつきますし、食糧問題にいたっては、人の食料と競合しない牧草中心に、食物残渣の利用と、田んぼの機能を守るための飼料米利用にも取り組んでいるという事で胸をはれます。動物福祉については、牛ができる限り牛本来のエサを食べて、無理やり太らされる事なく大切に育てられていること、何よりも、牛飼いがどんなに牛を愛しているか、私たちは生産者さんの思いを代弁する自信を持っています。
米も野菜も、もっと生きようとしている命あるもの。しかも花を咲かせる前のいのちを奪うのですから、牛がかわいそうで米や野菜がかわいそうではないということは大きな矛盾でしょう。毎日人に仕えられて、出産から出荷までを2年以上世話された牛が、人の食べ物になってくれる事は、決して残酷な事ではないということを、絵本やDVDなどの映像を通して訴えてもいます。