yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

牛肉の安全安心を追求し短角牛に出会う

私どもは、牛肉の安全安心に自信を持ちたいと、2005年に日本各地の和牛を見て歩いて勉強し、「生産風景を消費者に見せられる牛」として、いわて短角和牛を主力商品に位置づけて「健康に育った赤身の和牛の魅力」を懸命にアピールしてきました。
2006年には、「霜降り和牛を卒業したら、短角牛にたどりつく」、というキャッチコピーで短角牛のギフト販売にもチャレンジしましたが、悲しいかな南山自体にブランド力がなかったため、短角牛というマイナーな和牛がブレイクすることはなく、3000通のDMに注文はゼロというショッキングな結果となりました。消費者は聞きなれない名のお肉をわざわざ食べたいとは思わないのです。
このことは、大変大きな勉強になりました。牛と牛肉の奥深さにのめりこんだオタク的な感覚で希少な牛の価値を訴えても、消費者の心をつかむ事はできずに空回りするだけでした。
消費者にとって「牧場」は、牛舎を意味するのではなく、あくまでも「マキバ」なのです。牛舎につながれたまま一生を過ごす銘柄牛も、牛の写真はたいてい緑の草地を背景に豊かな自然でのびのびと・・・というイメージですから、短角牛の本物の放牧風景がお客様にとって斬新な価値となる事はありませんでした。かえって、夏山冬里の現実(いわて短角和牛の大半は、生涯の4分の3以上を舎飼いにされている事)を説明しづらいもどかしさを味わう事になりました。