yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

功も名も求めず、日ごとの糧に感謝して

10月1日(土)、同志社大学新町校舎を会場に開かれた「元気な命ををつなぐ会」の第3回食育セミナーでは、九州から助産師の内田美智子先生をお迎えし、すばらしい話を聞かせていただくことができました。


食料自給率40%の日本に、憲法9条はいらないでしょう。食料を外国に頼って戦争なんて出来るわけがないですから。
食品の廃棄量はお米の生産量の2倍・・・。
そんな数字なども淡々と見せながら、生まれること、生まれないこと、食べること、生きること、そして死ぬこと・・・をたくさんの美しい事例を通してお話くださり、「命をつなぐ」ということは、無償でいただいた命を死ぬまで生き切ることだと語られました。

「どんなに全国飛び回って講演しても、どれだけ大勢の方と語り合っても、世の中はそう簡単には変わらない。でも、今日の話を心に止めてくだされば、あなたの子供が変わります。あなたの周りが変わります。」

(本当に、それが一番です。)



最後には、「この子の瞳に映るものは?」と問いかける神々しい赤ん坊の画像が映し出されました。
子どもは、その瞳に映ったものと口にしたものによって養われ、自分を大切にしてくれる親の愛がきちんと届いておりさえすれば「自分を大切にする」という生き方ができる・・・。思春期を乗り越えられる・・・。「性教育」では子どもを守れないから、「生教育」を説いてまわっているのだと、内田先生はおっしゃいました。
しかし、会場に映し出された赤ん坊の画像が、その瞳に映していたのは、児童養護施設の職員の姿でした。
通り過ぎていく他人ではなく、自分を見守り続けてくれる親の愛が子どもには必要なのに・・・。


人間は、楽園を追い出されるときに「男は不毛の大地を耕せ、女は産みの苦しみを味わえ」と言われたようですが、これは人間を罰する呪いの言葉ではなく、大地を耕し、生まれてくる命を守り育てることで人は清められる・・・という教えなのではないでしょうか。
大地も耕さず、子も育てられない荒れた現代・・・、神から祝福される生き方を選ぶことで幸せになりたいものです。


そこで・・・、私があこがれるステキな家族をご紹介します。

大津市坂本で、戦後まもなく松井淨蓮さんが拓かれた「麦の家」。
お田植え祭に続いて9月の抜穂祭にも出かけ、淨蓮さんの遺志を継がれたご家族の手づくりのおもてなしをいただきました。
祈りをこめて大地を耕し、三反百姓を生きるご家族の明るさと、谷間の小さな田畑の風景が、本当に美しいのです。


↑そして、こんな風景を牛と共に作られた田野畑山地酪農の2家族・・・。上の画像は先輩格の「くがねの牧」熊谷牧場。開拓38年で、開牧の年に生まれたご長男(真ん中)が今は立派な後継者・・・。


下の画像は、熊谷家に倣って山地酪農に挑まれた開牧35年の「志ろがねの牧」吉塚牧場さんご夫婦で、頑固親父と7人の子ども達を生活保護なしに育て上げられた偉大な奥様がステキでした。



放牧だけで育ったホルスタイン経産牛のお肉もご馳走になりました。
大自然とのバランスが絶妙に保たれた田野畑村で育まれた牛は、これぞ牛肉本来の味! ホルスタインが、こんなにおいしいお肉になるとは、思いもよりませんでした。

開牧35年で、芸術的な風景をつくった吉塚さんの放牧場(↑)。
最近借りることが出来た山をまた一から開墾された、開牧1年の放牧場(↓)。こことは別に、息子さんが、親父を見習い、自ら別の山を開墾中というのですから、本当にすごいです。


岩泉の短角牛生産者さんたちも負けていませんでした。年末年始の大雪で畜舎がつぶれてしまっても、また一から建て直し、最悪の逆風が吹く中で、牛と共にわが子らを育む幸せを語ってくれる若い夫婦の目の輝きが本当にステキでした。

岩泉では、牛肉サミット準優勝の報告に、いただいたトロフィーを持参して生産者さんたちとの交流もさせていただきました。
出荷停止の影響は深刻ですが、安全安心が証明されている短角牛が、こんなことで窮地に追い込まれた悔しさを何とかしてエネルギーに変えねばなりません。


10月24日の「岩手の安全安心な食を豊かに味わう会」で、世の中は変わらずとも、私たち自身がしっかり立ち続けることと、大切な身近な人たちに、思いを伝えることが出来れば・・・と思います。


なんと、九州から徳野貞雄先生も参加してくださるとのこと。満員御礼のディナーの席に、大型台風上陸です。


これからの世の中がどうなっていくのか、情報を求めて右往左往する日々が続きましたが、実りの秋を迎え、日々食べていけることに手を合わせる思いでいると、「大丈夫! 心配いらない。」と思えるようになってきました。


私が初めて自産自消でつくったお米も収穫しました。子ども達に手伝ってもらいながら一生懸命草取りもし、稲刈りでは筋肉痛にもなりましたが、7キロほどの「やまひかり」の玄米がいただけました。



大地を耕すこと、子ども達を守り育てること・・・。幸せって、こんな足元にあるのですね。