yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

厳粛に、8月



昨年の8月14日、「核なき世界を!」との祈りを込めて、京都コンサートホールで、佐村河内守さんの「交響曲第1番ヒロシマ」の演奏会が開催されました。


被爆2世の全聾の作曲家佐村河内守さんが、音を失われたのちに作曲なさった、すさまじい交響曲です。


この「交響曲第1番」の全楽章世界初演から1年・・・。CD化への要望の声が高まり「交響曲第1番ヒロシマ」は、コロンビアレコードからCDとして発売され、私も早速購入しました。


原爆の悲惨と絶望の暗闇の中からわずかな光を見出す、佐村河内守さんの生き方と、そこから紡ぎだされる奇跡の音の世界は、これから私たちが背負う大震災と原発事故の悲惨とも重なり、厳粛な気持ちにさせられます。


昨日は、このCD化への協力者としてCDジャケットに名を連ねておられる細見忠生さんが、南山の「放牧畜産研究会」の記録を撮りにご参加くださいました。


細見さんは、ここ数年、南山の五山送り火観賞会のプロデュースもしてくださっている音楽と映像のクリエーターで、「なかのりさん、ありがとう」のDVDの制作者でもあります。
松本先生の講演があるなら、記録を撮りたいということで、駆けつけてきてくださいました。



「人と牛とふる里を育てる放牧畜産研究会」の講師1番バッターは岡山県の「高梁短角牛生産組合」事務局長、徳田匡彦氏。
2008年から始まった耕作放棄地で短角牛を周年放牧する取り組みのリアルな顛末記、いえ、成功物語です。
高齢化率34%、基幹産業は・・・年金(?)という高梁市を、20年後の日本全体の姿を先取りした「未来都市」と位置づけて語る徳田さんは、素晴らしい方です。


これが未来都市の姿なら、こりゃぁとても楽しそう…と、思ったりもしました。



松本先生は、狭い日本で、アニマルウェルフェアと環境に配慮した飼料自給率を高める畜産への可能性と、青草を食べ、日光浴もして育った、ビタミンたっぷりな牛肉の魅力について、分かりやすくお話しくださり、夢のある畜産の姿を語ってくださいました。
そして、畜産の世界を飛び越えて、「この国のあり方を問う」シビアなものにまでおよびました。


国産の自動車が積み上げ原価方式で売値を設定されていてもだれも文句を言わないのに、どうして「命の糧の農畜産物」は、相場で買いたたかれるのか…という矛盾や、セシウムで汚染された牛肉の問題から、それ以上に放射能汚染地区におられる人たちの健康を案じ、みんなで声を上げていこう!ということで、その場で署名活動も始まりました。
学童疎開だけでも急がないと! という現実に対し、大人としての責任を痛感させられ、今は、本当に何でもして子どもたちを守れる大人にならねば…と思わされたことでした。


実は、先日、93歳の美しいご婦人の自伝をまとめる仕事をお手伝いすることになり、親を知らずに戦前戦後の日本を生きてこられた「おばあちゃん」の想いを伺ったのですが、「またあの頃とそっくりな事態になりそう・・・」と、「おばあちゃん」は、親を亡くした子どもたちのことを案じて、いたたまれない気持ちを書き残そうとしておられるのでした。


リーダーがいない中での満州からの引き上げ・・・。
着の身着のまま子ども3人を連れて、行くあてもなく満州で2年間を生きねばならなかったこと・・・。


そんな遠い昔の「おばあちゃん」の思い出は、今の現実の話にも重なりそうな気がしました。


とんでもない事態の続く中、とにかく一人ひとりがしっかりとして、本当に信頼のできる人とのネットワークを作っていかないと・・・、と思っています。