yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

家族経営のむずかしさと幸せの形

yakinikunanzan2010-01-25



1月は、新年早々からたくさんの佳い出会いに恵まれ、本当にありがたいことです。


大中農業婦人会の皆さんと一緒につくりあげた幸せなランチ「大中づくし」に続き、その翌日は木津川市京都府山城南農業改良普及センター主催の研修会。そこで、熊本大学文学部教授・徳野貞雄先生のお話と薬膳料理を堪能させていただきました。



この研修会では、農家の担い手を育む家族の問題が中心で、農業経営=家族経営という視点での話を伺いながら、農業経営者のための「家族経営協定」のことなど、興味深いお話を聞くことができました。
しっかりとしたモデル農家さんの口から、「おんなこどもを大事にします」宣言が語られる様子がほのぼのとして、なんともいえない安心感と幸福感がありました。


徳野先生の話は、いつもの事ながらとても刺激的でおもしろく、結婚しない人が増えているのは「恋愛病」のせいとおっしゃり、そもそも結婚は、生活していくためのものであって、愛情は後から育っていけばよいのに、「恋愛できなければ結婚できない」という思い込みが蔓延して結婚できない人を増やしている。「恋愛か生活かどちらが大事かといえば、生きていくこと、生活だろうが!」と喝破。子も産まず、地域社会での役割も担わず、およそ自立とはいえない「社会的に孤立した人たち」をたくさん生み出してしまった、とおっしゃるのです。


動物の中でオスが子育てをするのはわずか2%。そのほとんどはメスだけが子育てをして、父親は不在。
ところが人間の場合は2足歩行で骨盤が小さくなったため、未熟児を難産で生むことになり、その結果メスは出産と育児で動けない間、オスに安全と食料を確保してもらえないと生きていけないため、そこからオスの役割が生まれ、子どもが独り立ちするまでの長い年月、オスとメスが協力し合わないといけなくなった。動物の中で人間だけが子育てが終わっても親子関係を継続して家族を形成しているということです。


弱小動物の人間が生のびるため、高度な仕組みとして家族や村を形成することで人類は繁栄したのに、それがわずか数十年ほどの産業化で崩壊しつつあるというのですから、私たちは、生物としての原点に返って生き方や暮らし方を見直す必要があるようです。


昨日は、京都市里親会恒例の新年会が南山であったのですが、農業者に限らず、誰もが「家族経営」の重要さに、もっともっと関心を持つべきではないかと痛感させられています。


今年度改定された「児童福祉法」には、「里親制度を社会的養護の受皿として拡充する」ということが盛り込まれています。
家庭の機能不全によって、親と離れて暮らさねばならない子ども達を児童養護施設に収容して地域社会から隔離するのではなく、里親家庭が受け皿になって地域全体で子どもを育んでいこうという方向性が打ち出されたのです。
人間の子どもの育ちには、家族や親戚縁者、地域社会という、「子どもが安心して属せる群れ」が重要だと認識された結果です。


他人の食べる分まで作る農家、他人の子も受け入れて育てる里親家庭・・・、どちらも担い手不足が深刻ですが、人間が生きるためのベースとして、「家族経営のあり方」を、「幸せに生きるための知恵」としてもっともっと見直していくとべきではないかと思いました。
食べ物を確保すること、子どもを育てること、こんな大事なことができなくなってしまったら、幸せになれるはずがありません。


さて、先日の南山の定休日(第3木曜)には、スタッフたちの新年会があったのですが、南山の家族的経営の形が如実に現れる傑作な会で、まさに「おんなこども」が大事にされる南山でした。





お母さんスタッフたちと学生スタッフたちのために社員が尽くす宴会とでも言えばよいでしょうか・・・。


社員が用意した焼肉パーティーの席の主役は、元気なお母さんと学生たち。
学生スタッフたちは、子育て中の最強お母さんたちとベテランお母さんスタッフたちの前で、一人ひとり自己紹介。
「かっわい〜!」とか「アンコール!」とか声をかけられながら、若者は「関西のおばちゃん」に対する免疫をつけて、たくましく育っていくのです。




学生スタッフが社会人として育っていく南山、お母さんスタッフが社会の風を受けながら家庭を元気にする南山、おんなこどもを大事にしながら群れの質を上げる裏方の社員・・・。これでいいのかな〜と、幸せな気分に浸っています。