yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

牛肉の奥深さ

yakinikunanzan2009-06-20


明日は、父の日。
南山では、スペシャルなメニューが登場します。


究極の和牛はらみ4種盛りです! 木下牧場の近江牛、いわて短角和牛、そして松阪牛前沢牛のはらみも!


牛肉の世界は本当に奥深く、いろいろな牛の美味しさがあるということを味わっていただけると有難いです。


牛肉は、牛の種類、部位の違い、そして、同じ種類の牛でもどんな餌で、どんな人に、どんな育てられ方をしたか・・・で味が違い、同じ人に同じように育てられても、血統の違いや牛の個体差で違い・・・、同じ牛の同じ部位でも熟成度や切り方、調理の仕方によってまた違うのですから、毎日牛肉を食べ続けても「○○牛が一番美味しい!」と言ってのけることは、これはもう不可能なことなのではないでしょうか。


個人の好み自体がさまざまなのですから、「牛肉の美味しさ」を成分分析による数値ではあらわすことは不可能で、結局、どんな思いで、誰とどこでどういう風に食べたか・・・ということが「美味しさ」を左右する大きな要因となっているようです。



6月19日は京たんくろ和牛ブランド化事業の専門家委員会が網野町で開催され、京たんくろ和牛をどのように育てていくのか、何を持ってブランドの定義とするのか、この事業にどんな意味を持たせるのか・・・が、喧々諤々で話し合われました。


市場流通で評価される見た目重視の霜降り度ではなく、味本位の牛肉、出来るだけ輸入穀物飼料に頼らない環境にやさしい飼育、そこに経済性は追及できるのか、という問題が一番の重要課題・・・。


自動車の安心安全に対しては、消費者が数十万円ものコストを負担するのに、食の安心安全のコストはすべて生産者に負担させていることや、きれいな水と空気、そして農山村の美しい風景をつくるコストを、誰が負担すべきなのかということまで議論が及び、エコは、エコノミーにはならないという厳しい現実が突きつけられました。


そういう現実を抱えながら、日本海牧場さんはデントコーンの栽培に挑戦して出来る限り自給粗飼料で肥育すること、そして、この事業を通して獣害対策や京丹後の地域の活性化、そして山での母子放牧もめざして行きたいという具体的な目標が定まりました。


母子放牧・・・これは、牛の飼育方法のことでもあり、実は人間の母子放牧も狙ってのことで、牛が30年かけてつくった大自然の山の中で、人間も牛と共に自然の一部となって放牧されてごらん? どれほど癒されることか・・・ということでもあるのです。


委員の先生方も、ストレスいっぱいの会議のあとは放牧タイム・・・。



山を登り、たどり着いた放牧地のてっぺんには、壁! これが人生というものなのでしょうか・・・。
でも、上まで上がらないと見えない景色があるのです。


農商工連携事業が、農業に活路を開くシステムになるのか!?
「ほんなもん、農商工連携のシステムなんて今さら言ったところで、それ以上のシステムの、金融まで持ってた農協があるやないか? 要は、人や。人間の問題なんや。」と、徳野先生。


生産のこと、流通のこと、その上に運動としての広がりが生じるのかどうかが、この事業に問われているのでした。


農家を守るのが自分の仕事という松本大策先生の肥育指導は、耕作放棄地調査やデントコーンの栽培技術研修も含めてスタートしています。京たんくろ和牛の質は、もう保証されたも同然という気分です。


松本先生は、誰もが「絶対に美味しくないはず」と思っていた記録的な長寿牛、19産した22歳の「なかのり号」の再肥育を指導してくださった名獣医です。なかのり号は、ホルモンはもちろんお肉も、こんなに美味しくてよいのかという、奇蹟が起こったのでした。


このなかのり号の物語はまもなく小さな絵本になります。その最終校正が届いた日、天橋立の駅前で、日本海牧場に向かう私たちは後藤喜代一さんご夫妻とばったり出くわしたのでした。



この絵本は、7月3日発売予定で500円(税別)。素人社(そじんしゃ)発行です。
書店流通もしますが、なかのり号のお肉で作った「近江牛専門店が極めたカレー」(500個限定)には、この絵本をお付けして味わっていただく予定です。


いろんな牛の魅力を味わう体験レポート・・・。
ごちゃ混ぜピビンパブログ、最後のトッピングは、ジャージー牛です。


アミタ「森林の牧場」で通年放牧され、自然交配で生まれるジャージー牛さんたちにも会ってきました。





搾乳の時間になると、序列に従っておとなしく順番に並んで待つお母さん牛たちと、ごろりと寝そべるのはただ1頭のオス、お父さん。


人間の世界よりもモ〜ッと存在が薄いのが、牛の世界のお父さんですが、寝転んでいても威厳があるのが牛のお父さん・・・?
お母さんたちが文句さえ言わなければ、人間のお父さんの寝転ぶ姿にも威厳が漂って見えるのかも・・・。