yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

元気をくださる素敵な家族

yakinikunanzan2008-12-14



がんばるだけがんばって、それでもどうしようもなくて、あとはただ祈るしかないという事態を幾山も超えながら、ひとはやさしく強く、魅力を増すのでしょうか。


南山の近江牛生産者さん、木下牧場のご一家が、ご主人の退院祝いに、南山へおいでくださいました。
10数年前、ご主人の入院を機に、幼い子ども二人を抱えて近江牛の繁殖肥育一貫経営に乗り出された木下その美さん、その後も入退院を繰り返されたご主人と、日々成長するお嬢さん二人とともに、「家族がいて、仲間がいて、笑顔がある」素敵な牧場経営をしてこられました。



でも、このたびのご主人の4度目の入院には、さすがに気が弱くなられた様子。とても心配だったのですが、ようやく気持ちが落ち着いてこられたようで、やっと南山に家族そろって食事においでくださいました。


ご主人の入院中は、お嬢さんたちはもちろん、お嬢さんの彼氏もせっせと牧場の仕事を手伝って男を上げたとか・・・。登校前の餌やり、下校後は牛舎の掃除・・・と、一人前に仕事をやり遂げた若者は、顔つきまで変わっていました。
たまに寝坊で餌やりができなかったこともあったそうですが、それを聞いた焼肉屋のおばちゃんからも「あかんやないか!」と叱られ、「すんません」としおらしく頭を下げる余裕。なんともすてきな好青年に成長しておられました。



入院中さらにやせてしまったご主人を前に、その美さんはしっとり大人の雰囲気でしたが、本当にこの人は面白い。
おいしいものを食べるのが大好きなその美さんに言わせると・・・
「食べるもんなんて、安いもんやん。服なんて買いに行けば、1万円なんてすぐなくなってしまうけど、1万円あったら、どんだけおいしいもん食べられる!?」



「ん。ん・・・確かに・・・」と歯切れの悪い応対をすると、

「食べたもんは、ちゃんと身になるし」と来ました。

「ほんまにその美さんは、やせる気ないんやなぁ」と大笑いすると、

ご主人を指差して、「入院しただけで痩せて、まだお金払ってまで身出してるよりええやん」とさらに笑わしてくださいました。


ご主人は、傷んだ小腸をかなりの量摘出する大手術だったとのこと。
摘出された「身」を見て本当にショックだったその美さんの実感だったのでしょう。


虫垂に石がたまっておなかが痛んだおかげで大事に至らなかったそうで、何よりでした。


記念の「石」も見せていただきました。



木下さんご一家に元気をいただき、本当にうれしくなった南山でした。

天下一の近江牛、ますます素敵になったご家族のもとで育てられ、南山にハラミと一緒に届いています。