華やかな宴、但馬の子牛市場
11月12日は、モクモクのセミナーで得た、重たすぎる宿題を抱えたまま京都駅から福知山経由で和田山へ。
そこから車で10分ほどのところにある藪の「古城旅館」で木下さんたちと落ち合いました。
この旅館は、但馬の子牛を買い付けに来る方々の常宿。市の前日には蟹尽くしの宴で盛り上がります。
近江牛の木下牧場さん・初代後藤牧場さんご夫妻・藤井牧場さん、松阪牛のMさんご夫妻、Akihiroくん、Kさん、Nさん、そして但馬の種雄牛の名牛「照長土井」を育てた長岡さん!
いづれもこの道のビッグなプロたちに混じって、盛り上がる牛談義を拝聴させていただきました。
華やぐ華やぐ! 牛肉になる前の牛の世界の深いこと、おもしろいこと、大変なこと!
翌朝は、早々に朝もやのかかる市場へ。
まずはセリが始まる前の牛の見聞です。500頭近い子牛たちが、丹精こめて磨きこまれ、今日まで育ててくださった飼い主さんたちとの別れを惜しんでいます。
賞を取った牛の頭には花が飾られ、メスには赤いタスキ、オスには青いタスキがかけられています。
木下さんたちは、近江牛の母となる繁殖牛を購入されるので、愛情深い生産者さんの元でしっかりと母乳で育てられたメス牛の血統を見て、入札予定の牛を確認。それほど時間はかかりません。
セリが始まると、電光掲示板の数字は激しく動きますが、何しろ長丁場。お昼を過ぎると昼食に手をとられたり、会場に眠気が蔓延したりと、セリに中だるみが見られる場面もなんどかあり、セリの掛け声が「はい、25万。なければ20万。・・・15万! 15万!!」とありえない数字で場の空気を覚醒し、そこから見る見る数字は上がって、50数万円が平均の落札価格。
信じられないほどの高値もばんばんついていました。
やはり、値段があってないような松阪牛や神戸牛の肥育農家さんは強い!
子牛を積み込んで帰る車の迫力も違います。
セリの順番を待つ牛たちは長い列を作り、セリ場の手前で体重測定。
購買者が決まった牛たちは、そこから新しい飼い主さんの元へと移動です。
セリ場では、その子牛を育てた生産者さんが、子牛を係りに引き渡す際とセリが終わって受け取る前に、帽子を脱いで深々と購買者席にお辞儀なさる方もおられ、手塩にかけて育てられた子牛への思いが伝わるようでした。
最後の別れ際には、子牛の首に半紙にくるんだ煮干をかけてやる生産者さんもおられるそうで、大切に育み育てられた“世界に誇る兵庫の至宝”「但馬牛」の奥深い文化に触れた気がしました。
市の中の屋台も大繁盛で、たい焼きとたこ焼きのおいしかったこと!
購買席ではおいしい差し入れが飛び交っていました。
名牛「照長土井」を育てた長岡さんが、照長の育て方を再現するようにして育てられた俊長(オス牛)も、今回の市で200番で出場。みごと種雄牛への道を踏み出しました。
すばらしい牛飼いさんたちの世界に触れ、牛を愛する人たちの思いをたくさんたくさん持ち帰ることができました。
本当にお世話になりました。
感謝!!