yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

手づくりなファームの愛

yakinikunanzan2008-11-14



11月10日・11日とモクモク手づくりファームで「日本最強!地域が元気になる観光交流セミナー」が開催され、岩手県岩泉町の皆さんと一緒に参加させていただきました。


学んだことは・・・つまり、愛です。
時間と手間ひまをかけていねいにつくりあげたものにこめられた「愛」。
身を挺してふるさとの文化を守ろうとする「愛」。


このセミナーをはさんで前後4日間の体験は、そんな愛の力について、つくづく考えさせられるものでした。


セミナーの前日、岩手の皆様は京都入りされ、私たちが岩泉で大変お世話になった返礼の食事を南山で。
岩泉町の安家地区でしか育たない地大根「安家地大根」は、南山でチシャ包みサラダに添えられたり、短角牛のたたきに添えられたりしています。


安家地大根は、短角牛とともに「味の箱舟」に認定された貴重な食財で、そんな希少な食を南山で岩泉の方々に召し上がっていただきながら、短角牛をどう売っていくか、ない知恵を出し合いながら明日からのセミナーに向けてのブレインストーミング


次の日は朝早く南山を車で出発し、岩泉の皆さんをまずは木下牧場へとご案内。


大中という大干拓地で、ゼロから近江牛の繁殖肥育一貫経営を始められた後藤さんを父に持つ木下その美さんから、開拓者魂に満ち満ちた「手づくりなファーム」をご案内いただきました。


牛さんが餌箱に首を伸ばすとがしゃんと動くスタンチョという鉄骨づくりの仕掛けも、ブロックを積み上げた餌箱も手づくり。
このスタンチョを動かぬように固定すると、人工授精をするときにも楽勝というわけで、ここで母牛は子牛を舐めまわして母乳で育てます。
そして子牛は、母牛には通れぬ幅の柵を自由に抜け出して運動できるようにも工夫されています。



増設中の畜舎も見せていただきました。
ブロックを積むのも生コン打ちも、鉄骨を切るのも溶接するのも、すべて家族総出の手づくり。
最近はお嬢さんの彼氏までもが従業員と化してこの作業を叩き込まれているようです。



木下さんから、さまざまな企業秘密を大公開していただき、岩泉の皆さんにはきっと参考になることがいっぱいだったのではないでしょうか。


そして木下牧場を後にしてそこから2時間ほど走ってモクモクへ。
モクモク20周年記念の無料セミナー「日本最強!地域が元気になる観光交流セミナー」の受講です。


ここで痛烈だったのは、個別相談での吉田専務の檄!


必死で背伸びはしてきたものの、まだまだ稚拙すぎる南山は、一向にピシリとした企業の方針ができません。
それどころか、これ以上は走れないという弱音蔓延。
「内部充実を!」という口実で進化をストップさせ、次なる挑戦と課題には向き合わずに数ヶ月を過ごしてしまいました。


「トップがそんなので、人が育つはずがない。今度弱音吐いたらモクモクへは出入り禁止にする!」と、思いっきり叱られてしまいました・・・。
モクモクさんのおかげで再生した南山は、本気で南山を応援してくださった吉田専務を失望させてしまっていたのです。


数年前、生きるか死ぬか・・・という状態の南山に出会った吉田専務は、先代(父)の著書「食べる文化を創る」をお読みくださり、モクモクのスタッフに「南山を日本一の焼肉屋にせなあかんのや。」と、話しておられたことがあるのですが、こちらは「食べてさえいければそれで十分」と、専務の熱い思いを「そんなアホな・・・」としか聞いていなかったのです。


鬼の吉田と呼ばれるモクモクの専務から初めてこっぴどく叱られ、これには有難さと自分への悔しさで涙がちょちょぎれてしまいました。


そして翌朝・・・。


モクモク二日目のセミナー講師は、山梨県清里清里になる歴史を生きてこられた萌木の村の舩木上次(ふなきじょうじ)社長。
誰にも止めることのできなかった南山の創業者(先代)の、すさまじいパワーと情熱とハチャメチャさを思い出しながら、本気でバカにならねばならない人の役割というものがあるということを、哀切と共に感じました。


いろいろな物思いにふけったモクモクのセミナー・・・。
終了後は、岩泉の方々を車に乗せて一路京都駅へ。
私は、ここで岩泉の方々と別れ、山陰線に乗り込んで和田山へと向かいました。


遅い昼食は、車内で・・・。
JR京都伊勢丹スバコで買った短角牛弁当と、値下シールについ飛びついて買ってしまった白キムチとチヂミで一人宴会です。


(続く)