yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

五山送り火が運ぶ涼

yakinikunanzan2008-08-20



鳴くセミも黙るほどの暑い日がつづいた京都の夏でしたが、例年通り五山送り火を境に、すごしやすい暑さに落ち着き、秋の虫の音が聞かれるようになりました。


五山送り火の日には、たくさんのお客様をお迎えして共に命のリレーへの感謝をささげ、おかげさまで無事にお盆が終わりました。


やはりなんといっても牛の命をいただく焼肉屋稼業・・・。牛の命に手を合わせ、ご先祖様にはお盆が終わるまでお参りもままならぬことを詫びつつ手を合わせ、16日には美しい五山の送り火と共にご精霊をお送りしました。



夕立にみまわれて、二胡シンセサイザーのコンサート会場を急遽4階に変更し、狭いところでお客様にはずいぶんご迷惑をおかけしてしまいましたが、「妙」に火がつくと、その迫力に拍手と歓声が湧きあがりました。


その裏では、出演者のか細いアーティストが、会場設営のやり直しでくたくたになったのちに涼しい顔で演奏してくださったのでした。
(上記画像は、スタジオセラヴィの細見さん撮影。細見さんはこのコンサートのプロデューサーで、PAをこなしながら二台のカメラを駆使して、「南山はなれ」のロビーに設置したスクリーンに、コンサートと送り火の実況生中継を映し出して下さいました)


地元の方々が何日もかけて暑い中をご準備くださるこの伝統行事のおかげで、毎年よい時間を過ごさせていただき、本当にありがたいことです。



↑木下牧場さんが撮影してくださった「妙」


実は・・・、いつになく大勢のお客様においでいただいた16日・・・、その記録的な忙しさの中で、高校生の長男次男はもちろん、洗い場には小学6年生の三男も借り出されて初仕事体験! 
送り火鑑賞会のお飲み物係は、次女と三女も立ち働く・・・という子ども6人総出の一日となり、それに加えて、夕方バス停で見かけた高校1年生の次男の友達二人に頼み込んで、このやんちゃ二人が助けてくれたおかげで、無事に何とかなったというのが、送り火の日の舞台裏なのでした。


「ちょっと、その真っ赤なTシャツは、おとなしいめのに着替えてくれるか? どくろのマークはあかんわ。お客さんびっくりしはるし・・・」
「このジュース1杯を1000円ほどの値打ちに感じるように、お客さんにだすんやで! ええか?! ちょっとやってみ? よっしゃ、そのスマイル!!」


やんちゃな高校生二人、本当によくがんばってくれました。
「ありがとう、お疲れ様! ほんとに助かった。地獄に仏! あんたら天使に見えるわ。やっぱ、持つべきものは友達やなぁ・・・。」とねぎらうと・・・、
「え? 友達やったんですか?」と、どん引きされてしまいましたが、ピンチを一緒に戦った仲やないですか、もう、これは親友みたいなもんです!



肝心のお店の舞台裏はというと、泊り込みで3種類のお肉を捌いてメニューを組み立ててくれた食肉センター長兼調理長を筆頭に、スタッフはみな気合でお盆の長丁場をがんばってくれました。本当に感謝です。


上記の画像は、どちらも京短黒和牛を捌く江口で、日本海牧場の短黒を取材にこられたグリーンチャンネル・アグリネットの方の撮影現場で写したものです。


グリーンチャンネルの取材班の方は、日本海牧場の現代表山崎さんが、先代の放牧の夢をかなえるため網野町の山に短角牛を放って短黒の生産を始められた物語に魅せられて、それはそれは丁寧に取材をして帰られました。


京短黒和牛の盛り合わせを撮影するのにも、数時間を掛け、焼き方や焦げ目までこだわり、何度も納得できるまで撮りなおしておられました。


3種の牛肉を丸ごと1頭仕入れで商品化する南山の現場は、やりくりが大変なのですが、畜産農家さんの大変さと比べれば、焼肉屋なんて楽なものでしょう。そう簡単に弱音を吐くわけには行きません。


下の画像は、右から近江牛、京短黒和牛、いわて短角和牛のロース。それぞれの特徴がよく出ているので、取材班の方にも南山の3種類の牛肉を見ていただきました。



損得度外視でよりよい作品作りに時間をかけるアーティストのように、南山も、日々牛肉の勉強、勉強、勉強を積み上げ、バリエーションの妙でお客様からの拍手をいただきたいものです。


お盆を過ぎ、雨のために新米の入荷日が2転3転するうち、もうすぐそこに9月、新学期が近づいてきました。
実りの秋には新米フェアー中秋の名月、稲刈り、ハロウィンと、行事が盛りだくさんです。



残念ながら稲刈りの日程は・・・まだ決まりそうにありません。
稲刈りは稲穂が出てから50日たったころというのが目安だそうで、南山のバケツ稲にも稲穂は出ず、ヒエの穂1本だけが目立っている有様ですから、稲穂のつくのが待たれます。


こうやって毎年作物の生育状況を気にしながら季節を感じることができる幸せをかみしめながら、稲刈りの日の企画をあれこれ思い巡らしています。


今年の稲刈りには、岡部さんの畑の芋ほりと焼きいもを楽しみ、刈り取った稲のわらは、木下牧場へ届けるという強行軍を予定しているのです。


その下見と、稲わら集めの練習に、夏休み中に一度木下牧場さんのところへ修行に行ってくるつもりでおります。
邪魔にならないように手伝うことを目指した稲刈り行事企画、今年は邪魔にならぬようにできるでしょうか・・・。