yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

お盆を前に・・・  

yakinikunanzan2008-08-06



3月からお出ししていたプレミアム短角牛がいよいよおしまいになり、今日は、通常肥育の短角牛が2頭分届きました。


うれしいことに、どちらも岩泉の釜津田生まれ釜津田育ちの短角牛で、佐々木一二さんの「はなこ」と、畠山利勝さんの「石藤」。ひらがな名の「はなこ」は、もちろんメス牛で、久々のメスの短角! ちょっと楽しみです。


釜津田は、岩泉の中でも特に短角牛の改良を担ってきたプロフェッショナルな地区で、短角牛の共進会でも地区で上位入賞を占める先進地! 有名な大人気ブログ「農家の嫁の事件簿」の舞台です。


この「農家の嫁の事件簿」でもよく紹介されている短角牛の共進会というのがまたすごく面白く、今回、岩泉町役場の加藤さんが8月1日に開催された共進会の画像(右上と下の画像)を送ってきてくださったのですが、お母さん牛の共進会に、授乳中の子牛がついてくるのです。


こうして子連れ出勤で共進会に出場しているお母さん牛を見ていると、働きながら母乳でわが子5人を育てた私も、つい、枯れたお乳がもっかいはって来そうな懐かしさに見舞われてしまいます。



先日の南山での短角牛セミナーにおいでくださった佐藤満さん(佐藤安美さんのご子息)も、子連れのお母さん牛を引いておられます。


後日談ですが、この佐藤満さん、本当は7月12日の短角牛セミナーに、短角牛を1頭京都まで連れてくるという大役を引き受けてくださり、覚悟を決めてくださっていたのです。ぎりぎりまで実現に向けて頑張ったものの、どうしても暑さ対策と安全対策をこちらがクリアできず、当日は満さんだけがおいでくださったのでした。(関係者一同、この暑さで牛を連れてきていたらどうなってただろう・・・と、内心みなが安堵したのでありました。)


いわて短角和牛は、牧区ごとに数十頭のメス牛の群れに種雄牛を1頭入れ、自然交配させるので、春にいっせいに生まれ、出荷適期も早春から夏前半・・・と、旬があります。この旬の時期に南山では3月から7月まで地元産のトウモロコシで特別肥育されたプレミアム短角牛を延べ8頭お客様に提供しました。


この間通常肥育の短角牛を入れなかったので、いよいよ短角牛の旬を過ぎ、通常の短角を入れるとなると、やはり冷や冷やドキドキせざるを得ません。
南山のお客様は味のよいプレミアム短角牛に慣れてしまわれましたから、通常肥育の短角牛が極端に味が違ったらどうしよう、かといって全然違わなかってもプレミアムの値打ちがないし・・・と、なんともむずかしいところなのです。


これから始まる短角牛の端境期には、月齢の高い牛か、弱齢牛のどちらかが市場に出ることになり、どうしても品質がばらつきます。しかも出荷できる牛がどんどん減ってくる中でよい牛を選ばねばならないのですから、ここがいちばんつらいところで、本当は、短角牛は旬の時期にみなで食べてしまうのが一番なのではないかと思います。



通常肥育といえども由緒ある釜津田の短角牛が2頭届き、南山の3階のテラスにある冷蔵庫前に、ダンボールの空箱が山と詰まれました。
冷蔵庫には、お盆用の京短黒和牛、近江牛、短角牛がぎっしり詰め込まれ、南山においでくださるお客様をお待ちしています。


8月16日の五山送り火鑑賞会も早々に満席になり、南山の裏山の「妙」もきれいに草刈され当日への準備が地元の方々によって進められています。



お盆にお迎えしたご先祖さまの霊が天にお戻りになるのをお見送りする五山送り火・・・。
この8月16日が過ぎると、京都の暑さはやわらぎ、秋の虫の音が響きはじめます。


牛も人間も、今生きている命が結晶するためには、10代前は1000人500組の親、20代前は100万人、50万組の親たちが生まれ、成人し、出会わなければならなかったのですから、ご先祖様が生まれ、生きて、つないでくださった命の不思議には手を合わせたくなります。


命をいただくこと、命をつないでいくことを、壮大なご先祖様の物語の中で心しながらお盆をお迎えしたいと思います。