yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

食と農の危機! 

yakinikunanzan2008-04-16



昨年6月のFARCA大交流会で記念講演をしてくださったピーターD.ピーダーセンさんからメールでお誘いを受け、東京の国連大学で開催されたシンポジウムに行ってきました。
シンポジウムのテーマは「本来農業への道」〜持続可能な農業と地域を実現するために、いま必要な行動とは〜です。


このプロジェクトメンバーによって「持続可能な社会に向けた農業の役割について」徹底討論され、調査資料とともにわかりやすい提言書にもまとめられているのですが、「農業が生業(なりわい)として成り立たず、農業そのものの持続性が危ぶまれている」という日本の異常事態に改めて愕然とし、飢餓はすぐそこまで来ているという危機感を味わわされました。


この提言書には、「日本の持続可能な農業の実現に向けて」5つの分野で合計10の提言が記載されているのですが、会場参加者全員が、本来農業の実現に向けての自分自身の行動案を記載して壇上のテーマ別ボードに貼り付けるという作業がとても面白いものでした。



私は、ちょうど5月25日の田植えツアーを控えている身でもあり、「生産者と生活者の連携」という分野に自分の行動案を貼り付けました。
提言書のなかにある10番目の行動案には、「生産者と生活者(消費者)の多様なネットワークを築き、顔の見える農業生産を実現し、生活者参加型の農業の普及を図る」とあります。
これこそ南山食農倶楽部の取り組みそのものだと思い、ささやかでも、朝市や生産者さんとの交流会を愚直にやり続けていこうと意を強くしました。


「農」の持つ、命への感性を覚醒させる教育力も重要視され、話題に上りました。


牛肉1人分を作るために14人分のトウモロコシが必要になるという肉食悪玉説も飛び交い、焼肉料理屋としては肩身の狭い思いもしましたが、毎日食べるわけではない「牛肉というご馳走」の位置づけを考え直し、可能な限り環境にやさしい、そしてその地域の文化として必要とされている牛の命をいただきたいものと思いました。


シンポジウムの基調講演で、ピーターさんは「未来責任を全うする」という言葉を使われましたが、これこそが他者の命をいただいて生きているものの努めではないかと思います。私たちは、命を差し出してくれたものの未来を生きているわけですから。