yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

ふるさとのまぶりっと(守り人)

yakinikunanzan2006-09-13



9月10日の岩泉レポート続編です。


畏れ多くて、どんなレポートを書いても
軽すぎる…と自嘲したくなるのですが、
合砂さんを訪ねた後も、有難すぎる旅の
恩恵が続きます。


食の世界遺産味の箱舟」に、短角牛と共に登録された
「安家地大根」を作っておられる小野寺長十郎さんをお訪ねしました。


88歳で、山の中に住み、自ら畑を開墾しながらあっか地大根を守っておられる
小野寺さんの大根畑は、ご自宅から歩いて山を300メートルほど上がったところに
ありました。




川手先生の講義付で、小野寺さんご夫妻の“すさまじくすばらしい”生き方に触れ、
日本昔話の世界にまよいこんだような、癒しの時間をいただくことができました。


小野寺さんから安家地大根の種を分けてもらって、他でも地大根の栽培がされるように
なったそうですが、岩泉以外の地では、こんな赤い、こんな辛味の大根にはならないそうです。


この希少な地大根を10月の短角牛フェアで分けていただけるのですから、
これはもう、ただ事ではない幸運です。


この1日、広い広い岩手の、日本一広い町・岩泉町で、食の世界遺産を守る
超人的な生産者さんたちに会い、川手大先生の解説を生で聞けたのです。
この有り難すぎる事態に、わたし達はもう、コチンコチンに緊張していました。


ところが、この日の道の駅での夕食には、ぬぁんと、岩泉町長も御一緒なさるとのこと!!!


うっ、これ以上緊張したら、魔法が解けて、わたし達はどぶねずみかなにかに
戻ってしまう・・・という危機感を感じながら、半分ヤケクソで夕食会場へ。


閉店後の道の駅のレストランに着くと、おっかなそうな風格の
彫りの深い男前の町長がお待ちでした。岩泉町長・伊達勝身氏です。


緊張と緩和の落差が笑いだと、亡くなった枝雀師匠が言っておられましたが、
・・・いやはやもう、笑いすぎ、呑みすぎの、熱い夕食をいただく羽目になりました。




ほや貝、ホタテ、短角牛のリブロースステーキ等等などなど・・・、
岩泉の農海産物で用意されたフルコースのイタリアンが、次々にテーブルに出され、
デザートに至るまで、とびっきりオシャレで美味しい特別料理をご馳走になりました。


「俺はここでラーメンしか食ったことがねぇぞ」と仰る町長も、このご馳走には
目を丸くされ、後から料理説明においでくださったシェフに、「今日の料理は120点!」と
大満足で、岩泉の豊かな食と文化について、とても愉快に語ってくださいました。


特に短角牛の話になると町長は熱くなられます。
黒毛和牛の高騰と、安価な輸入牛に押され、値のつかない短角牛の生産が
どんどん減ってきているということで、それがいたたまれないと仰る町長は、
短角牛の生産者さんをどう守るか、真剣そのものでした。


伊達の家や茂木の家が潰れても、日本に何の影響もないが、短角牛の生産者さんが
潰れたら、南部牛追い歌の世界、ふるさとの山の文化がなくなってしまう。だから、
なんとしても生産者さんの暮らしを守っていかねばならない、と、本当にもう、
熱い熱い思いを語られるのでした。


木の下草を食べて山林を守り、緑の草地や林道を守るだけでなく、水芭蕉の咲く
湿原を守ってくれるのも短角牛なのだそうです。

放牧された牛たちは、飼い主がホーホーと呼ぶとその呼び声を聞き分けて、
自分の飼い主の手から味噌をもらってなめるのを楽しみに、飼い主に駆け寄ってくる・・・
こんなかわいい牛がどこにいる?! と、町長。


伊達町長を筆頭に、経済至上主義では見えないもっと豊かな世界観をもった
「短角まぶりっと」達に、私達は岩泉でお目にかかることができました。


短角牛をとびっきり美味しく食べていただくことで短角牛の価値を高めていく!
この役割を南山は担っていかねばと、私達も、すっかり「短角まぶりっと」に
ヘーンシン! という熱い気持ちになりました。