yakinikunanzan会長の事業承継奮戦記

子育てと事業承継について

庶民の歴史と芸術の力


2010年・・・、今年は、日韓併合から100年目の節目の年なのだそうです。
南山から車で5〜6分のところにある高麗美術館では、この節目の年にいろいろな展覧会や研究講座が企画されており、その中のひとつ6月12日から開催される特別企画展「浅川伯教・巧が愛した朝鮮美術」は、おすすめです。
http://www.koryomuseum.or.jp/2009/12/2010_612815_1.html


この展覧会では、南山所蔵の加藤松林人画伯の絵も展示される予定です。
と、いうのも、加藤松林人先生は、浅川巧の墓を探し当て整備なさった方でもあるとのことで、高麗美術館の学芸員の方からその話を聞き、加藤先生の人徳がなおいっそうしのばれたことでした。


植民地時代にかの地で暮らし、韓国・朝鮮の美しさを描いてこられた加藤先生の絵が、こんな形で日の目を見ることになり、本当に有難いことです。
真珠の高価さにビビッてしまったブタの私は、少しほっとしているところで、不幸な歴史(history)の中でともに翻弄された庶民のつむぐHerstoryに、こうして光が当たることはすばらしいことだと思います。



加藤先生の描かれた絵に添えられている随想に、韓国・朝鮮の美しさを「明るさの中の寂寥感」という風に表現されていました。
かつて、韓国の児童文学の編集をしたことのある経験から、私もこれには合点がいくのです。
韓国の民話は、正義が勝ったり苦労した人が報われる勧善懲悪やハッピーエンドではない、もどかしいほどの「こんなはずではなかった」と言う結末のものが多く、それをあっけらかんと受け止めて、また一から苦労しなおす民衆のたくましさが描かれています。


ケンチャナ! で、飲んだり踊ったり体中で笑ったり泣いたり・・・、どうしようもない運命を背負って生き抜いてきた民衆のつむいだ文化の中には、確かに「明るさの中の寂寥感」と言う美しさがあるのでしょう。


片や、植民地時代の韓国・朝鮮の人々から敬愛された日本人、浅川兄弟や加藤先生には、「日本人の美しさ」が凝縮しているように思えます。
つつましさ、奥ゆかしさ、そして勤勉さ・・・。


南山の創業者孫時英と親交厚かった加藤先生は、失われる日本の村の美しさを描きとめておられ、それが縁で永源寺ダムに沈む運命にあった南山の建物が北山通りに移築されることになりました。
南山の創業者は、日本の農村のすばらしさにカルチャーショックを受けた在日1世で、この農村を壊してはならないと奔走していました。


100年のスパンで失ったものを見直し、向後100年の歴史をどう作るか、ちょっと大きく深呼吸してゆったりと考えてみたいものです。


さて、ほかにも南山の近くで開催される超お薦めの企画を紹介させていただきます。


まずは4月28日(水)午後2時から京都工芸繊維大学で開催される谷川俊太郎さん(詩人)と鯉江良二さん(陶芸家)の対談「ことばの力 ものの力」・・・。
http://www.kit.ac.jp/01/topics/2010/2th_forum100408.html


ここには、8月14日の佐村河内守さんのコンサートのチラシを持って私も参加する予定で、「反核」の思いを共にする芸術家の「ことばの力 ものの力」を吸収させてもらいたいと思っています。


それから、5月15日(土)・16日(日)に京都府立芸術会館で開催される金一志韓国伝統芸術院の公演も、お薦めです。

http://iruchi.com/category/blog

この美しい金一志さんのご次男は、ただいま南山で修行中のとても元気なかわいい奴で、彼もこの日は公演のお手伝いに駆けつけるはずです。
彼によると、この美しい母が彼の自慢ではなく、「自分が、母の自慢」なのだそうです。